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 静岡市葵区に独創的なラーメンを出す店がある。同区七間町の路地裏にある居酒屋「わいも」。食材の有効活用への執念がラーメンのバラエティーを生み、2015年秋にランチ営業を始めてから100種類以上を提供してきた。平日の昼、10坪ほどの店内には多くのラーメンファンが訪れる。

 1月下旬のある日、日替わりラーメンのメニューは「タチウオラーメン」だった。琥珀(こはく)色のスープにストレートの中太麺、タチウオの身と厚切りの自家製チャーシューをトッピングした一杯だ。

 だしに使ったのは通常は廃棄するタチウオの頭。刺し身で使わなかった部分をこの日のために約5キロ、3カ月かけてためた。「タチウオだけではだしの味が弱いから半分を塩焼き、残り半分は煮干しにしてだしをとる」と、店主の佐野正一さん(47)。高校卒業後、市内のホテルや和食店で約15年修業。04年にわいもをオープンした。

 佐野さんが大事にしていることの一つが、食材の廃棄を減らすこと。経営が行き詰まり、店をたたむ知人を何人も見てきた。若い人が酒を飲まなくなったと感じる昨今、赤字が続いて不安になったこともある。15年までは夜の営業のみで、余った食材は廃棄していたが、使い切ろうと模索するうちにランチの日替わりラーメンが生まれた。

 佐野さんのお気に入りは「駿河しゃも濃厚白濁ラーメン」と「うるめイワシラーメン」。長年の修業で、食材からだしをとるのはお手の物。過去にはスッポンやフグなどの高級食材を使ったラーメンもあったが、一杯の価格が千円を超えたことはない。常連客のリクエスト通りにラーメンを作ってしまい、時には赤字になることも。だが、食材を有効活用することはコスト削減につながり、何よりやりがいもある。

 「利益も確かに大事だけれど、自分もお客さんも楽しくないと。食材も人付き合いも無駄にしないのが一番だね」(仲川明里)