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 これは、「がんを告知されたら、子どもにどう伝えたらいいのか」を考える記事です。記者(30)は、4歳の息子の母親。今までは子育てと仕事に追われる毎日のなか、どこかがんを「自分とは別の世界のこと」と感じていました。でも、小林麻央さんら同じ年ごろの子どもがいる著名人らの病気がニュースになるたびに、心がざわつくように――。「子育ては?」「治療は?」「子どもになんて言えば……」。考えるほど、不安が大きくなりました。

 母親は自分の健康を後回しにしてしまいがち。でも2人に1人はがんになる時代です。子育て中にがんを経験し、母親だからこその葛藤を経験した当事者に話を聞きました。

 埼玉県の看護師、米倉ゆりかさん(43)は2016年の秋、ステージ2の乳がんと診断された。気づいたきっかけは、一緒にお風呂に入っていた長男(7)の一言。「ママ、ここにビー玉があるよ」。夏ごろから、たびたび言われるようになっていた。

 でも、仕事も忙しく病院になかなか行けない。やっと平日に休みが取れたのは数カ月後。精密検査を受け、「乳がんです」と告げられた。

 まず頭に浮かんだのは「私、もしかしたら死んじゃうのかな」という不安。そして「息子にどうやって伝えよう」。

 仕事は体力勝負。健康には自信があった。1年前に受けた乳がん検診では「異常なし」の診断だったのだ。心の準備はなかった。

 ひょうきんで明るい息子がどう受け止めるかが心配だ。心が不安定になったり、笑顔が消えたりしてしまうかも。手術で乳房を切除することになったけれど、ショックを受けるだろうか。

 手術の前日。2人きりのリビングで向かい合い、「明日手術をすることになって、しばらく病院にいなくちゃいけないんだ」と切り出した。

 「見つけてくれたビー玉、大きくなると、ばいきんまんになっちゃうんだって。大きくなる前に、お医者さんに取ってもらうの」

 目を見つめ、うなずきながら聞く息子に「ビー玉を見つけてくれた恩人だよ」と語りかけた。

 当時、病気のことをどう受け止めたのかはよくわからない。ただ、手術後のベッドの横で、じっと涙をこらえる息子の姿は、麻酔でぼんやりした意識のなかでも印象に残っている。

 不安にさせてしまうのが心配だったが、ありのままを見せようと、治療の内容や注射の痕などは隠さなかった。

 手術後、初めてお風呂に入ったときのこと。「ママ、おっぱい1個はなくなっちゃったけど、もう1個あるからいいよね!」。いつもの明るさで、こう声を掛けてくれた。それに救われた。

 がんになってから、息子は簡単な家事を手伝うようになり、肩や腰が痛いといえばマッサージもしてくれる。ちょっとした成長を感じる瞬間だ。治療の副作用で髪が抜けたときはびっくりしたようだが、「ママ、本当にいっぱい抜けるんだね」と、一緒に毛を集めてくれた。

 いまは、外出時には一緒にウィッグを選ぶ。「どっちがいいかなぁ」と話しかけると、「長いのが可愛いから、こっちにしなよ!」と返ってくる。こんなやりとりができる。それが幸せだ。

■「今日は、こういう治療をして…

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