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時紀行

 めがねフレームの製造で、国内の9割以上の出荷額を占めるのが福井県だ。その製造が県内で始まってから113年。今も昔もより良い製品を目指し、業界関係者の奮闘が続く。

 機械油の臭いがほんのりと漂う工場に、「シャー」と、めがねを磨く音が響く。福井市今市町にあるめがねフレーム製造販売会社「増永眼鏡(がんきょう)」。回転する円盤形の「バフ」と呼ばれる布に、担当者が一つ一つプラスチックのめがねフレームを当てて磨き、仕上げていく。1本にかける時間は4、5分。フレームを当てては離し、傷がないか、目を凝らす。

 「当てる時間が長過ぎると、熱を持って曲がってしまう。かといって触れるだけでは磨かれない。微妙な感覚が試される作業なんです」。5代目社長の増永宗大郎(そうたろう)さん(45)が解説してくれた。

 めがねの製造工程は、素材やデザインによって100~300にも上るとされる。金型づくり、型を抜くプレス、溶接、めっき。一つ一つの部材に人の手が入る。メタルフレームの研磨には硬いバフを使う。削りすぎないように細心の注意と集中力が求められ、メタル専門の担当者に任されている。

 初代社長の増永五左衛門は113年前の1905(明治38)年、雪深い冬でもできる地場産業をと、めがね製造を始めた。五左衛門が掲げた社是は「当社は、良いめがねをつくるものとする。出来れば利益を得たいが、やむを得なければ損をしてもよい」。今もめがねを丁寧に磨き続ける。

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