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平成とは 第1部:時代の転機(7)タメの喪失

 平成は、昭和に比べて時間の流れが速くなったと人は言う。噓(うそ)をつけ。噓をつけ。“のどかな”昭和を代表するような小津安二郎映画でも、登場人物はいちように忙しがっている。時の流れは、速くも遅くもなりはしない。変わったのはなにか。タメ、である。

 芸人のかき入れ時、年末が忙しいのは承知だが、なにせ取材アポがとれない。ようやく時間をもらってつかまえた、地方のスーパー、イベント広場。

 股間にお盆の裸芸、昨年大ブレークしたアキラ100%……ではない。

 持ちネタひとつでスターダム、「最近、見ない」で早(はや)10余年、すべってなんぼの黄色い男、ダンディ坂野が“売れて”いる。

 「昔、むっちゃはやったやつやりますよ。カメラ、準備いいですか。ゲッツ!……受けませんね。子供、全然笑ってません。いいですよ~、慣れてますから」

 「なんでいつも黄色いタキシードなの? そう聞かれてダンディ、言ってやったんだ。スーツは黄色いけど、スケジュールは真っ白だよ。……順調です。拍手もなくなった」

 ステージは、中毒的な苦笑で包まれる。

 「雑誌でよく『あの人はいま?』みたいな記事、あるでしょ。僕はいつもトップバッターでキャプテン」。取材にそう話すダンディに、自虐の口吻(こうふん)はない。「一発屋は、いまや確立したジャンルですから」

 「パツ屋」とも呼ばれる。ネタ一丁でテレビを席巻、彗星(すいせい)のように現れ、きれいに消える。一発屋は、平成に急増した新しい称号だ。昭和の雑誌にも一発屋とは書かれたが、歌謡曲などが典型。一発屋の見出しがあふれるのは、元号が平成に変わってから。その多くがお笑い芸人だ。

 「2017年の顔」となった人気のアキラ100%も、「18年には消えそうな芸人特集で、僕は必ずトップ3に入ります。しょうがない」と冷静だった。「ネタは、ユーチューブなんかですぐに消費される。一方、だからこそ僕の名前を知ってもらえる」

 有名人になったもん勝ち――。そんな21世紀型ビジネスモデルがある。高度なIT化とグローバリゼーションがもたらした「セレブリティーエコノミー」。CDも映画も本も、すぐコピーされ、ネットで消費される。ならばアーティストにとって作品はもはや宣伝材料。有名になり、その後、ライブやCM、講演で稼ぐ。

 つまりパツ屋は、理にかなった…

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