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 初めて会ったのは、彼らが中学3年のときだった。25歳になり、ずいぶん有名になったが、あのころと何も変わらない。純粋で、謙虚で、優しくて、陸上にまっすぐな2人だ。

 1日、群馬県庁発着の7区間100キロのコースで争われた全日本実業団対抗駅伝大会で、旭化成が4時間52分18秒で2連覇。3区の市田(いちだ)孝、6区の宏は双子の兄弟。2年連続で2人とも区間賞に輝き、連覇に大きく貢献した。旭化成陸上部の顧問である宗(そう)茂氏、総監督である宗猛氏の宗兄弟も、そろって区間賞をとったのは一度だけ。憧れの宗兄弟を、2人で上回ってみせた。

 兄の孝は「連覇できて、すばらしい仲間に恵まれたうれしさがあります」。弟の宏は「去年はたまたまの区間賞でしたけど、今年は狙っていたので、すごくうれしいです」と話した。そして口々に、「今年も一緒に区間賞をとろうと約束してたので、よかったです」と。お互いに満面の笑みで言った。

 兄が先に行き、弟が追いかける陸上人生だ。

 鹿児島市の吉野中1年まではサッカー部だったが、陸上部に誘われて2年から移った。3年のとき、全国大会の3000メートルで2度、兄が1位、弟が2位の「双子ワンツーフィニッシュ」を成し遂げた。2人は同世代のトップにいた。私は鹿児島へ取材に行き、2人同時に話を聞いた。兄がまず質問に答える。そのたび弟は人なつっこく笑い、「僕も同じです」。取材にならなかったが、彼らの純粋さ、仲のよさは十二分に伝わってきた。この子たちが今後どうなっていくのか見ていきたい、と思った。

 鹿児島実高に入学後、明暗が分かれた。順調にステップアップしていく兄。弟は負傷がちで伸び悩む。3年になると、陽気な弟の口数が減った。夜に秘密特訓をしようとしても、察した兄がついてくる。「2人でいるのがつらかった」。初めて、双子であることを恨んだ。

 転機は5月の高校総体県予選。…

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