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 牛乳やチーズなど、日本における乳食文化を切り開いた人々を紹介する著書「牧野(ぼくや)のフロントランナー」(デーリィマン社)を、農学博士で西日本食文化研究会主宰の和仁皓明(こうめい)さん(86)=山口県下関市=が出版した。明治の文明開化以降、西洋からもたらされた乳食を普及させ、日本の酪農や乳業の礎を築いた先駆者たちの列伝となっている。

 和仁さんは出版にあたり、2010年4月から5年間にわたり、月刊誌「乳業ジャーナル」で連載したエッセーのうち、日本乳業界のフロントランナー約30人に焦点を当てて再構成した。すでに高い評価を得ている人だけでなく、優れた業績が有りながらも当時は十分に理解されず不遇な生涯を送った人などを積極的に取り上げたという。

 その一人が、「北海道酪農の父」と呼ばれる宇都宮仙太郎氏(1866~1940)。明治政府が導入した米国式の大規模酪農は、エサの牧草不足で生産性が下がっていた。この代替案として、宇都宮氏は牧草地に施肥をするデンマーク式の中規模酪農を採り入れて成功。いまなお続く北海道酪農の礎を築いたという。

 また、奇兵隊創設時のメンバーだった萩藩士族の子孫、有吉義一氏(1909~1979)は学校給食にチーズを導入した。1個10グラムの小型チーズの開発を乳業メーカーに依頼し、1965年に誕生したチーズを「キャンペーン・チーズ」と命名。国を挙げて、子どもの健康維持と成長促進に取り組むという意気込みを表した。幼少時の食経験がチーズ食文化を定着させ、日本人のチーズ消費量の飛躍的な増大に貢献した。

 ほかにも乳酸菌の効能を世に広めた人や、チーズの流通を軌道に乗せた人も紹介している。和仁さんは「乳食の普及を通じて国民の健康増進と体格の向上に貢献してきた、フロントランナーの悪戦苦闘と初志を貫く姿をぜひ知ってほしい」と話している。

 四六判、224ページ。2160円(税込み)。ネット通販サイトでも購入できる。問い合わせはデーリィマン社(011・231・5653)。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(白石昌幸)