新年恒例の「歌会始の儀」が12日、皇居・宮殿で催された。今年の題は「語」。天皇陛下や皇族方、陛下に招かれて歌を詠む召人(めしうど)、選者らの歌が披露された。入選者10人も出席し、その1人、長崎県佐世保市立清水中学1年の中島由優樹(ゆうき)君(12)は戦後、記録の残る限りで過去最年少の入選となった。

 宮内庁によると、天皇陛下は毎週日曜日に皇居・東御苑を散策しており、その際に二の丸庭園の雑木林で希少植物のキンランを見つけたことを詠んだ。鮮やかな黄色い花で、陛下は戦後間もない時期、学習院中等科時代に過ごした東京・小金井で初めて目にした花だという。

 皇后さまは早春の穏やかな日差しのなか、天皇陛下を見上げた時のことを詠んだ。陛下が長い年月、ひたすら象徴としてのあるべき姿を求めて歩み、その重責について多くを語ることなく静かに果たしてきたことに思いをはせたという。

 皇太子ご夫妻はともに、昨年11月に東日本大震災の被災地、宮城県名取市閖上地区を訪れた時のことを詠んだ。被災した一人一人の幸せを祈り、今後のさらなる復興を願った内容だ。

 秋篠宮さまは東南アジアの地方の村を訪れ、暮らしの知恵が多く含まれている村人の話を楽しく聞いたことを歌にした。11月に結婚し、皇籍を離れるため今回が最後の出席となる秋篠宮家の長女眞子さまは、2016年9月にパラグアイを訪問し、日系人らと交流したことを詠んだ。(召人、入選者らの歌は13日付朝刊に掲載します)(島康彦

 天皇、皇后両陛下や皇族方の歌は次の通り。

 〈天皇陛下〉

語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く

 〈皇后さま〉

語るなく重きを負(お)ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ

 〈皇太子さま〉

復興の住宅に移りし人々の語るを聞きつつ幸を祈れり

 〈皇太子妃雅子さま〉

あたらしき住まひに入りて閖上(ゆりあげ)の人ら語れる希望のうれし

 〈秋篠宮さま〉

村人が語る話の端々(はしばし)に生業(なりはひ)の知恵豊かなるを知る

 〈秋篠宮妃紀子さま〉

人びとの暮らしに寄りそふ保健師らの語る言葉にわれ学びけり

 〈秋篠宮家長女眞子さま〉

パラグアイにて出会ひし日系のひとびとの語りし思ひ心に残る

 〈常陸宮妃華子さま〉

遠き日を語り給へる君の面(おも)いつしか和(なご)みほほゑみいます

 〈寛仁親王妃信子さま〉

我が君と夢で語りてなつかしきそのおもひでにほほぬれし我

 〈寛仁親王長女彬子さま〉

祖母宮(おほばみや)の紡がれたまふ宮中の昔語りは珠匣(しゆかふ)のごとく

 〈高円宮妃久子さま〉

学び舎(や)に友と集ひてそれぞれに歩みし四十年(よそとせ)語るは楽し

 〈高円宮家長女承子さま〉

友からの出張土産にひめゆりの塔の語り部をふと思ひ出づ

 〈高円宮家三女絢子さま〉

気の置けぬ竹馬の友と語り合ふ理想の未来叶ふときあれ

     ◇

 宮内庁は来年の歌会始の題を「光」とする募集要領を発表した。光の文字が詠み込まれていればよく、「光線」「栄光」のような熟語でもいいという。

 応募は1人1首で未発表のものに限る。書式は半紙を横長に使い、右半分に題と短歌、左半分に郵便番号・住所・電話番号・氏名(本名、ふりがなつき)・生年月日・性別・職業を毛筆で縦書きする。病気や障害で自筆できない場合は別紙に代筆の理由と代筆者の住所・氏名を書き添えるか、印字して別紙に理由を書き添える。視覚障害者は点字も可。

 締め切りは9月30日(当日消印有効)。あて先は「〒100・8111 宮内庁」、封筒に「詠進歌」と書き添える。詳細は宮内庁ホームページ参照。