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 脊髄(せきずい)損傷したサルに神経細胞の再生を促す抗体を与えることで、手の指の動きを回復することに、京都大と大阪大の研究チームが成功した。5日、英科学誌「セレブラル・コーテックス」に発表した。けがなどで脊髄を損傷した患者の新たな治療法になる可能性があり、来年にも大阪大を中心に、医師主導の臨床試験(治験)を始めるという。

 京大霊長類研究所の高田昌彦教授(神経科学)らの研究チームは、神経細胞の再生を妨げるたんぱく質「RGMa」に着目。脊髄を損傷させて片手の指の動きが悪くなるようにしたアカゲザルの脊髄に、このたんぱく質の働きを抑えるマウスの抗体を、チューブを通じて4週間与えた。

 その結果、投与した4匹は運動機能が回復し、投与を終えて10週間後には、くぼみに置いた餌を損傷前とほぼ同じペースでつまめるようになった。投与しなかったサル3匹は半分ほどのペースだった。

 損傷の直後に治療を始めると効果が見込める一方、時間が経過した慢性期の患者にも効くかどうかや、どの程度の脊髄損傷を治療できるかは現段階では不明という。治験はヒト用の抗体を用いて行う予定で、高田さんは「脊髄損傷後、早期に抗体で治療すれば相当な効果がある可能性を示せた。今後はどの程度の損傷まで治療の対象になるか検討を進める必要がある」と話す。(西川迅)