[PR]

 インドネシアが違法漁業への「見せしめ」として進める外国密漁船の拿捕(だほ)後の爆破処理について、ルフット海事調整相が「もう十分だ」と批判し、中止する方針を示した。ところが、直接の担当であるスシ海洋水産相は「爆破は効果的だ」と反発。密漁対策のかじ取りが定まらない事態になっている。

 密漁船の爆破は、水産業界出身で2014年に就任したスシ氏の看板施策。許可なく同国海域で操業して拿捕したベトナムやフィリピン、マレーシアなどの360隻余りを司法手続きに基づき沖合で爆破し、魚礁にしてきた。船員らは強制送還処分とした。外交摩擦も恐れない強気の施策は世界に類例がほとんどなく、スシ氏は漫画「ゴルゴ13」の題材にもなった。

 しかし、上級閣僚としてスシ氏の海洋水産省や運輸、観光などの省庁を統括するルフット氏は8日、「ショック療法としては良かったが、もう十分。水産物の生産や輸出に注力すべきだ」と述べ、拿捕した船は地元漁師に与える方針を示した。カラ副大統領も「抗議する国がある」と爆破を批判したという。

 これに対し、スシ氏は中止方針を知らされていなかったとされ、動画投稿などを通じて「やめるかどうかは大統領が判断すべきだ」と反論。ジョコ大統領は8日、「数千の密漁船が来なくなったのはスシ氏が船を沈めたから」と、爆破擁護ともとれる発言をした。

 同国は毎年数千隻の密漁船により200億ドル(2兆2千億円)の損失を被っているとされるが、対策を取る「船頭」が複数いて混乱は深まっている。(ジャカルタ=古谷祐伸)

こんなニュースも