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 専門医らがメニューを監修・調理し、食物アレルギーがある子どもが安心して食べられる「子ども食堂」が滋賀県に誕生した。子どもに無料や低額で食事を提供する食堂は全国に広がっているが、食物アレルギーに配慮した取り組みは珍しいという。

 運営するのは、日本アレルギー学会が認定する2人の専門医と、小児アレルギーの専門知識がある看護師や栄養士ら計14人。運営にかかわる同県立小児保健医療センター小児科医の楠隆(くすのきたかし)さん(59)は「アレルギーのある、ないにかかわらず、楽しんで『つながれる場』を作りたかった」と話す。そんな願いを込め、会の名称を「スマイルシード(笑顔の種)」とした。

 食物アレルギーを抱える子どもやその家族は発症の危険と隣り合わせで、孤立したり引きこもりがちになったりすることがある。

 楠さんは昨年秋、県内の子ども食堂の取り組みを紹介するシンポジウムに出席。食事を核に地域がつながっていく理念に共感した。そこで、勤務先の同僚で看護師の笹畑美佐子さんらと、専門知識を生かした食堂を作ろうと準備を重ねた。常設の食堂を持たず、調理場のある施設を借りることにした。

 今月6日、同県の守山市社会福祉協議会の調理室で、洗浄を徹底し、初めて食堂を開いた。食物アレルギーがある子どもら約40人が相次いで訪れた。

 この日提供されたのは、プルコギや鶏肉団子とチンゲンサイのスープなど計5品で、卵や小麦、魚、ゴマなどアレルギーの原因とされる15品目を除去した。「おいしい!」「おかわりしよう」。子どもの明るい声が部屋中に響いた。

 同県近江八幡市の安藤明子さんは、次男の賢志君(8)と訪れた。賢志君は卵や乳のアレルギーで、外食先が限られる。明子さんは「安心して食べさせられるし、同じ悩みを持つお母さんたちと語り合える。参加してよかった」。賢志君も、初めて食べたプルコギに満足げだった。

 スマイルシード代表の笹畑さんは「普段と表情が全然違うのを見ると、始めて良かった」と手応えを感じた。次回は3月に守山市で開く。18年度以降は広く参加者を募り、県内外で開きたいという。問い合わせは、スマイルシード(smile.seed2018@gmail.com)へ。(真田嶺)

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 「こども食堂ネットワーク」(事務局・東京)の釜池雄高・事務局長(40)は「食物アレルギーを抱える子を対象にした子ども食堂は珍しい」と話す。ネットワークは全国約290カ所の運営者による連絡会。主なアレルギー品目を除去してメニューを出す努力をしているところもあるが、対応しきれないケースも多いという。

 農林水産省が昨秋に実施したインターネット調査(中間報告、274の運営者が複数回答)では、17・5%が食物アレルギーがある人の参加を「お断りする」と回答。21・2%が「特に対応を取っていない」だった。

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