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 ふくおか県酪農業協同組合行橋事業所(福岡県行橋市道場寺)の敷地内に立ち、大きさ「日本一」とも呼ばれた乳牛の像が消えた。近くを走るJR日豊線の列車内からも見え、地区を巡るイベントコースの一つにもなる名所だった。

 像は全長3・4メートル、高さ2・7メートル。本物の乳牛より大きい上、高さ4メートルほどの台座に載っていたため、ただでさえ目立つ白と黒のホルスタイン種の像は異彩を放つ存在だった。

 像が建立されたのは60年近く前の1959年8月。当時の京都(みやこ)酪農業協同組合が設立20周年と、昭和天皇の巡幸10周年を記念して作ったもので、市内の左官業の親子が担当した。

 県酪協によると、撤去したのは昨年12月下旬。組合員の減少などで行橋事業所が2016年10月に飯塚支所に統合され、閉鎖された。旧事業所の敷地を売却するため、像は台座ごと撤去、解体したという。像の扱いについては「移設先を探したが、見つからなかった」という。

 同市袋迫の中野文雄さん(76)は正月、撤去に気づいた。遊びに来た孫の女子大生(20)から「乳牛(ちちうし)がなくなっている」と聞かされ、驚いて現地で確認した。父親は酪農家で、中野さんは会社員になった後も乳搾りや牛乳の集荷など家業を手伝ったという。

 「乳牛の像はかつて一帯が酪農が盛んだったことを示す大事なシンボル。その像が突然消えてしまい寂しい」と残念がる。

 この像は、1999年11月に作られた地元の新田原郵便局の風景入りスタンプにも採用されている。柿野忠嗣局長は「記念の像なので、スタンプの中に残し思い出としてとどめておくのもいいかなと思っています」と話している。(久恒勇造)