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 悪性リンパ腫のサバイバーで、がん患者団体の全国組織の理事長を務める天野慎介さん(44)。患者の声を政策に反映させようと活動を続けます。がん対策の改善点や課題を伺いました。

見過ごせない情報格差

 会社員だった2000年、のどの違和感と高熱があり、近所の耳鼻科に行きました。「扁桃(へんとう)腺の腫れ方が悪性リンパ腫の患者に似ている」と医師に言われ、紹介された総合病院で、「悪性リンパ腫」と診断されました。頭が真っ白になりました。

 がん治療に進歩をもたらした分子標的薬などが出てくる前でした。周囲に同じような病気の患者は少ないし、同世代の患者となると、ほとんどいなかった。治療が進んでいるのかも分からず、仕事や結婚はどうなるんだろうと抑うつ状態でした。

 私が治療をしているとき、同じ病室にいた高齢のがん患者の方から「先生から最新の情報を紙でもらったから、天野さんにもあげる」と言われたことがあります。見ると、国立がん研究センターがインターネットで公開している情報でした。私よりも長く闘病しているのに、初めてその情報を知ったと喜んでいました。患者の命さえ左右する情報を、患者さんご自身が納得できるほどに得られていないのではないか。情報格差を見過ごしてはいけないという思いを持つようになりました。

あまの・しんすけ
1973年、東京生まれ。27歳で血液のがんの一種「悪性リンパ腫」を発症。2度再発し経過観察中。2015年、全国の患者団体に呼びかけ全国組織の「全国がん患者団体連合会」を設立。悪性リンパ腫の患者の支援をする一般社団法人「グループ・ネクサス・ジャパン」の理事長も務める。

患者の声を届けようと全国組織設立

 創設メンバーではありませんが、悪性リンパ腫の患者を支援する団体「グループ・ネクサス・ジャパン」の活動に2002年ごろから関わっています。医療や生活に関する情報提供のほか、交流の場の提供を中心に行っていました。その後、海外の標準的な治療薬が日本で使えない「ドラッグラグ」が問題になり、行政に政策提言をするようにもなりました。

 06年にがん対策基本法が成立し、病気の種類や地域ごとに患者団体が設立されるようになり、患者団体の活動も活発になってきました。でも個々の患者団体が要望しても、声は届きにくい。各地の患者会が連携すれば、もっと患者の声を政策に反映できるはずだと考え、15年春に新しく全国組織「全国がん患者団体連合会」を立ち上げました。

がん対策、進歩と課題

 この約10年間で、国のがん対策は進みました。がん診療連携拠点病院は全国に400カ所以上でき、相談支援センターや緩和ケアチームも設置されました。主ながん種については、一定の標準治療が受けられるようになりました。最近では、免疫チェックポイント阻害剤という薬に代表されるよう、従来では考えられなかった作用の薬も出てきて、がん医療は確実に進歩しています。

 ただし、残された課題もあります。治療の難しい「難治がん」や、患者数が少なく標準的な治療法がない「希少がん」。5年生存率が改善しないものもある「小児がん」などです。これらについてもっと対策を進めて欲しい、と患者から強い要望があります。

 受動喫煙対策を含む、たばこ対…

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