【動画】義足ランナーたちの練習風景=広部憲太郎撮影
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 義足のランナーが月1回、汗を流す陸上クラブが三重県北部で活動している。地元の病院の医師らが約6年前に結成。リオパラリンピックの代表選手も出したが、クラブの理念はあくまで「初心者が走りを楽しんでもらうための入り口」だ。

 昨年12月、桑名市の陸上競技場。板状の競技用義足を付けたランナーら約10人の笑顔が絶えなかった。レベルに合わせ、芝生でゆっくり歩いたり、台の上でジャンプして股関節を動かしたりした。最後は数人がトラックを全力で駆けた。

 いなべ市の日下病院が作った陸上クラブ「大和鉄脚走行会」の練習風景だ。同県亀山市の保田明日美さん(26)は昨年5月、列車事故で右足をひざ上から失ったが、入院した同病院で誘われ、陸上を始めた。「最初は夢も希望もなかったけど、義足で走るのは気持ちいいし、心のリハビリになる」と笑顔を見せた。

 クラブができたのは2012年、1人の障害者がきっかけだった。

 同県東員町の渡辺聡太郎さん(38)は18年前、交通事故で左足のひざ下を切断した。「義足で歩くだけで精いっぱい」だったが、年齢を重ねて体力も落ちてきた。通院していた日下病院の整形外科医、加藤弘明さん(39)に「運動して健康になりたい」と相談した。

 2012年の初め、2人はパラリンピック選手も指導する義肢装具士の講演を聴き、その後、東京にある義足の陸上クラブも見学した。

 競技用義足は生活用と異なり、足先が板状になっていて推進力を生む。練習を積めば、全力で走ることも可能になる。競技者を間近に見て、加藤さんは思った。「東京に頻繁には行けない。それなら、三重でやろう」。こうしてスタートした大和鉄脚走行会は、病院を運営する医療法人「大和会」から名前を取った。

 同年5月、第1回の練習を行っ…

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