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国語

 大問数・設問数・マーク数とも昨年通りの出題。評論では新傾向の出題があった。小説は現代女流作家の作品からの出題。古文では2001年以来の歌論の出題。漢文でも久々に史伝が出題された。

【難易度】やや易化

【全体概観】

 大問数4題、各大問の配点50点。設問数・マーク数も昨年通り。

 第1問の評論は、比較的新しい文章からの出題で、人間の、現実をデザインするという基本的条件について具体例を通じながら論を展開している。文章量が昨年より1割程度増えており、読むのに少し時間がかかったかもしれない。また、問3が新傾向の問題で、問題文に関する図についての四人の生徒の対話が交わされる中、空欄に正しいものを入れる設問が出題された。文章の表現と構成を問う問6は、(i)が適当でないものを1つ選ぶ問題、(ii)が適当なものを選ぶ問題なので、注意が必要である。

 第2問の小説は、5年連続で女流作家の作品からの出題であった。ページ数、文字数、また、設問数、設問形式は昨年通り。現在、活躍中の作家の作品であり、時代的に古びた感じはしないものの、夫と子を亡くした妻の心境を中心とした内容で、受験生にはなかなか共感は得られにくいかもしれない。問5の理由説明問題は選択肢がまぎらわしく、問6の表現に関する問題は、本文を丁寧に読み返す必要があるため、正解を得るまでに時間がかかると思われる。

 第3問の古文は、17年ぶりの歌論で取り組みにくく感じたかも知れないが、例年より本文が短く、内容も読みやすい。問われている内容が書かれている箇所を見つけられれば、解答しやすい問題である。問2の文法問題は新形式の問い方で、助詞に関わるのも新傾向と言えるが、問われている知識は基礎的内容。問5、問6は傍線部はないが、該当箇所を見つけて選択肢と照合する問題。全体を見わたす合致問題の出題はなかった。

 第4問の漢文は、近年随筆的内容の文章が多かったが、本試験では1999年度の『列女伝』、追試験も含めれば2011年度の『宋史』以来、久々に史伝による出題であった。設問形式は、語の意味、解釈、書き下し文と解釈の組み合わせ、理由説明、内容説明に加え、主体を問う問題が出題されたが、大きな傾向の変化はない。

 国語全体としては、やや易化。

設問別分析

【第1問】有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティー集合的達成の心理学』→やや易化

 問1の漢字は、(ア)の「意匠」がやや難しいが、ほかは基本的な問題。問2は、前後を読解すればわかる基本問題。問3は新傾向の問題。問題文に関する図についての4人の生徒の対話が交わされる中、空欄に正しいものを入れる設問が出題された。問4、問5はいずれも3行にわたる選択肢の問題だが、本文ときちんと照らし合わせれば正解できる標準レベルの問題。問6は文章の表現と構成を問う問題。(i)が適当でないものを1つ選ぶ問題、(ii)が適当なものを選ぶ問題なので、注意が必要である。

【第2問】井上荒野「キュウリいろいろ」→昨年並み

 問1の語句の問題は、辞書的な意味で対処できる。「枷が外れる」はやや難だが、本文の内容に即していけば解ける。問2~問4は標準的な理由説明・心情説明問題だが、かなり間違いやすい選択肢になっている。問5は3行選択肢の理由説明問題で、やや難。問6は昨年と同様、表現に関する問題だが選択肢に指摘された箇所を探すのに時間がかかり、やや難。

【第3問】本居宣長『石上私淑言』→やや易化

 問1は例年通り部分訳の問題。(ア)は前後の文意も考える必要が少しあるが、(イ)(ウ)はほぼ単語の知識で解ける。問2の文法問題は新形式の問い方で、傍線部に関する文法説明のうち不適当なものを選ぶ問題。助詞が関わる問題は2016年の「の」の用法を問う問題があったが、それ以前の出題にはほぼ見られない新しい傾向と言える。問3は、「問ひて云はく」に対する答である「答へて云はく」の後半「恋はよろづの……」に注目して選択肢と照合する。問4は、「答へて云はく」の最初の5行に注目して選択肢と照合する。問5は傍線部がないが、注目すべき箇所が「さはあれども」から始まる段落と分かれば正解は得られる。問6も傍線部はないが、例年のような本文全体を見わたす合致問題ではなく、本文1枚目(30ページ)最終行の「色を思ふも本は……」と、最終段落の内容を選択肢と照合して解く問題であった。

【第4問】李とう『続資治通鑑長編』→やや易化

 問題文は187字で、ほぼ平年並み。設問数が昨年度から6に戻っている。マーク数も昨年同様8であった。本文は注も多く比較的読みやすいものであった。問1は漢字の読み方ではなく、「議」「沢」の意味の組み合わせ問題。問2は昨年同様短い傍線部の解釈の問題。問3は、返り点と書き下し文ではなく、書き下し文と解釈の組み合わせ問題であった。問4は2カ所の名詞と述語の主体の組み合わせ問題。問5は理由説明、問6は内容説明問題で、おおむね例年の傾向の範囲であった。

新高3生へのアドバイス

 センター試験は、ごく限られた時間内に正答を求める試験です。普段から、現代文2題・古文1題・漢文1題の4題を80分で解き終わるための時間配分の訓練をすることを念頭においてください。「マーク式だからなんとかなる」という安易な考えでは、志望大に合格する十分な点数は取れないことを肝に銘じてください。センター試験まであと1年、次のアドバイスを参考にして、計画的にしっかりと勉強を進めていきましょう。

◆現代文

 第1問の「評論文」は、例年は抽象的な内容の評論文が出題されるので評論文に苦手意識のある生徒は、まず<漢字・語彙(ごい)といった知識事項を固めることが先決です。こうした漢字力・語彙(ごい)力は、単に漢字問題や語彙(ごい)問題で点を取るだけでなく、読解力を根本から支えることにつながります。早い段階で漢字と語句の問題集を1冊ずつ仕上げ、それを文章読解の中で理解していく形をとりましょう。

 またセンター現代文に求められる「速読力」を付けるためには、本文を読みつつ問題がきたら解くという読解法(「読みつつ解く」)を日頃からトレーニングしておくことも必要です。そして、本文を読み進めるときはただ目で文字を追うのではなく、手を動かして、キーワードや筆者の主張にしっかり線引きをしていくことで解答の根拠をすばやく見つけられるように学習を進めていきましょう。

 第2問の「小説文」については、本文を「客観的」に読むということを一番に心がけてください。感情移入をして主観的に読んでしまうとどうしても得点は安定しません。本文を客観的に正確に読み、事実関係と登場人物の心情をしっかりととらえ、選択肢を要素に分けて「消去法」で消していく読解法を身につけていきましょう。

 また小説の語句問題は「辞書的な意味」を答える必要があります。日頃からわからない語句は辞書を引く習慣をつけて、評論の漢字や語彙(ごい)と同様にどんどん吸収していきましょう。

◆古文・漢文

 古文・漢文は、現代文に比べると、何について問われているかが見えやすい出題が多く、それゆえ土台となる知識・基本事項の比重の大きい科目です。古文であれば、古典文法・古文単語・古典常識・敬語法など、漢文であれば、返り点などの訓読のスピード・重要句法・漢字の用法や読み・重要語などの土台になる知識の完成度が勝負の大きなカギを握ります。これらをできるだけ早い時期にマスターすることが大切です。遅くとも夏休みが終わる時点までに繰り返し確認をしながら、土台の勉強を終えましょう。それらの知識を身につけたら、後はそれを駆使してできるだけたくさんの問題を解き、解法の訓練を重ねることが必要です。きちんとした土台の上に、全体の時間配分に留意しながら正解を判断するスピードや要領の訓練を重ねることで、常に高得点がとれる、本当の力を身に付けることができるようになります。

 夏以降は、センター過去問演習の講座や模擬試験によって、解法の訓練と時間配分の練習を繰り返して下さい。模擬試験は何点とれたかということよりも、年間の学習計画の中で、その進捗(しんちょく)度・定着度を測定・認識することが重要なのです。隔月で年6回行われる「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験していくことで、着実に実力をのばしていきましょう。

新高2生へのアドバイス

 実際にセンター試験の問題を解いてみて、いかがでしたか? 「国語はなんとかなる」とたかをくくっていた人の中には、ボリュームの多さに圧倒された人もいるかもしれません。確かにセンター試験には難問・奇問の類はありません。しかし、センター試験ではごく限られた時間内に正答を求める必要があります。現代文2題・古文1題・漢文1題のこれだけの分量を80分で解き、しかも高得点を取ることが志望校合格の絶対条件となる試験です。普段から、ぜひ時間を意識して学習を進めましょう。そのために、ぜひ次のアドバイスを参考にして、高2のうちから、学力を大きくアップできるよう、計画的に勉強をすすめていきましょう。

◆現代文

 センター試験の現代文に対応するためには、まず本文の正確な「読み」が前提>なります。高2の段階で大切な学習として、漢字や語句などの知識を豊富にすることがありますが、単に表面的な知識を増やすのではなく、文章を読解していく中で、生きた形で語彙(ごい)力を付けることを心がけてください。

 次に、「速く読む訓練」を積んでください。解答時間に余裕のないセンター試験に対応するためには、一定以上の読解速度が必要です。これは一朝一夕では身に付かない技術なので、早いうちから意識して速読する習慣を付けておいてください。また、「評論」と「小説」に得意不得意のある人は、安定した成績を取るためにも、早い時期に苦手な分野を集中して学習し、克服しておくようにしましょう。なお、国語の勉強というだけでなく、たくさんの「本」を読むことが結果的にこれらの力をつけることにもつながります。積極的に読書の習慣を身につけましょう。

 また、高2の段階で大切なことは、模試や過去問などを解いた後に必ず「復習」する習慣を付けることです。現代文を解きっぱなしにしていては実力は付きません。間違えた箇所の原因を知り、次に同じミスを犯さないようにしていくことで、次第に実力がアップしていくのです。

 いずれにせよ、今まで現代文に対して正面から取り組んでいなかった人は、現代文に対する意識を改革してください。大学入試の現代文は、適当な勉強では高得点を取れないという事実を知り、きちんと対策を立てていくべきものだという認識を持つこと。そしてそのための基礎力をこの一年間で養成するのだ、という認識に立つことが大切です。

◆古文・漢文

 まだまだ十分に時間はあるのですが、新高2生の諸君には、できるだけ早く「受験勉強としての古文・漢文」をスタートさせてほしいと思います。学校の授業でやっているからOKではなく、「受験の古文・漢文」の意識を持つことが大切です。

 古文・漢文は、現代文に比べると、土台となる知識の比重が大きい科目です。

 古文であれば、用言の活用と助動詞・助詞を中心にした解釈のための古典文法、300~500語ほどの重要な古文単語、古典常識、敬語法などです。漢文であれば、返り点をたどりながら本文を読むスピードと、書き下し文にできる訓読の力、使役・受身・反語・疑問・否定などの句法の力、漢字の読みや用法の知識などです。もちろん、これらの知識を蓄えることが目標ではなく、知識などを駆使して問題を解く力をつけることが目標です。知識の土台固めは反復して勉強する時間が必要ですので、早く始めた者が勝ちなのです。特に漢文は、「短期間に高得点が取れるようになる」科目ではありますが、それゆえ後回しにしておいて、結局最後まで点数が伸びないという受験生が少なからずいます。2年生のうちに、早めにマスターしてしまうつもりで始めましょう。問題演習はまだ焦る必要はありませんから、とにかくこの1年間は、本格的始動のための土台固めと位置づけて下さい。

 センターに対する実戦的な対策としては、「高校生レベル模試」を、自信のある人は「高校生レベル模試」に加えて、受験学年と同じ「センター試験本番レベル模試」も活用しましょう。模試を受けるなかで、学力は伸びていきますし、自分の現時点の力を知るためにこそ毎回欠かさず受験するようにしましょう。(東進ハイスクール提供)

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