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 1月9日から12日まで、米・ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジーイベント「CES 2018」を取材しました(写真1)。過去には「家電展示会」と呼ばれたCESですが、それは昔の話。現在は、家電はもちろん、自動車から社会システムまで、テクノロジーが関わるものならば全てを扱うイベントになっています。そのため、CESを見ると、テクノロジーに関わる業界で何が起きようとしているのか、大まかな傾向が見えてきます。今年のテーマは二つありました。「音声アシスタント」と「自動運転」です。この2軸に絞って解説していきます。なお、CESには多数の興味深い新製品や新技術も展示されています。それら細かなものについては「フォトギャラリー」で解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。(ライター・西田宗千佳)

「Hey Google」がラスベガスを占領

 CESのためにラスベガス入りした人々は、ある現象に驚かされました。街中が「Hey Google」に占領されていたのです。ラスベガスのホテルには、ショーや製品を宣伝するための動画ディスプレーが多数あります。それらには、数分に一度「Hey Google」と表示され、街中の広告がグーグルのものになったように感じる時すらありました。ラスベガスの街を走るモノレールも「Hey Google」でラッピングされています(写真2)。それに乗ってCESの会場に入ると、今度は「Hey Google」と書かれた建物や広告が目に入ってきます(写真3)。

 筆者はCESを15年近く取材していますが、ここまでラスベガスが1社のサービス広告で埋め尽くされた経験はありません。位置付けが変わってきたとはいえ、CESはハードウェアが軸のイベントであり、ソフト・サービスの会社は目立ちにくい傾向にあります。そのためグーグルは、CESに大きなブースを出すことはありませんでした。

 しかし今年は違います。全力で「Hey Google」をアピールしています。「Hey Google」というのは、同社の音声アシスタント「グーグルアシスタント」で命令を伝える時に使われるコマンドワード。昨年秋に日本でも発売されたスマートスピーカー「グーグルホーム」でも使われています。

 現在アメリカでは、スマートスピーカーがヒットしています。CESの主催者である全米民生技術協会(CTA)は、2018年には前年比60%プラスの4360万台が売れると予想しています。当然、それらと連携して動作する各種家電も重要になります。

 LGエレクトロニクスやソニーは、音声アシスタントのパートナーとしてグーグルを選び、自社の家電での音声連携をアピールしました。ソニーはテレビのリモコンにグーグルアシスタントのボタンをつけ(写真4)、LGは自社の家電すべてをWi-Fi対応して、テレビはもちろん、冷蔵庫から送風機までを音声対応にしました(写真5)。ソニーは白物家電を売っていないのでテレビとスピーカーが中心ですが、他社の連携家電をブースに置き、「みなさんが使っている多くの家電がソニーのテレビから音声コントロールできる」とアピールする作戦に出ました(写真6)。これ以外にも、CES会場には電球からロールカーテン、保温用のボトルに至るまで、多数のグーグルアシスタント対応家電があふれ、そこにはグーグルが用意した「Hey Google」の印が躍っていました。

勝者アマゾンはあくまで「静か」

 一方で、この風景は、グーグルアシスタントが音声アシスタントとして勝利したことを示しているわけではありません。むしろ筆者は「グーグルはあせっているな」という印象を強くしました。

 統計によって数字は異なるものの、アメリカ市場においては、アマゾンの「アレクサ」がトップシェアを独走しています。市場の7割がアレクサであり、グーグルアシスタントは、2位ではあるがかなり差をつけられている状況です。多額の費用をかけてラスベガスを占領したグーグルに対して、アマゾンはほんの少し、会場に垂れ幕をかけただけです(写真7)。圧倒的なシェアの前に、家電をアピールする場で不利をカバーしようとするグーグルに対して、ある意味で「横綱相撲」をするアレクサという風に、筆者には見えてしまいました。

 多くの音声連携家電を作る企業は、グーグルアシスタントとアレクサの両方に対応しているのが実情。両者は技術的に非常に似通っており、大きな手間をかけずに両方に対応することができるからです(写真8)。ですから、シェアの差はあまり意味がないとも言えます。

 一方、連携家電は多く出てきたものの、それらの中で本当に便利と感じるものは少なく、どこかで見たものという印象が強かったのも、また事実です。単に機能をオンオフしたり、ちょっとしたデータを取ったりするくらいなら、もはや開発に難しいところはありません。だからこそ多くの機器が登場したのでしょう。ただ、そこに印象に強く残るものがないということは、モノを発表するイベントでもあるCESと家電メーカーにとって大きな課題のはずです。

 単なるオンオフを超えて、声で操作することがわかりやすい、声で操作することが便利な環境を目指さなくてはいけません。その提案が今年はまだ足りていないとも感じます。

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