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 中国・上海沖で衝突し、漂流後に沈没したタンカーから漏れた油の流出が拡大している。中国公船などが対応に当たっているが、周辺の生態環境への影響を心配する声も出始めている。

 イランから韓国へ向かっていたパナマ船籍のタンカー「SANCHI」は6日、上海から約300キロの沖合で香港籍貨物船と衝突。その後、火災したまま約280キロ南東方向へ漂流を続け、14日に沈没した。タンカーにはイラン人など32人が乗船していたが、イラン政府は「全員が死亡した」との見通しを示した。

 沈没した地点は中国大陸と沖縄本島のほぼ中間地点で、沖縄から約300キロの距離。中国中央テレビによると、タンカーには原油の一種で最小限の加工をした「コンデンセート」13・6万トンのほか、燃料として1千トン近い重油が積まれていた。中国の専門家は揮発性の高いコンデンセートの残量は多くないと見るが、燃焼による有害物質の発生を懸念する。

 現場の油の流出は、14日時点で約10平方キロメートルだったが、15日には58平方キロメートルまで拡大した。中国外務省の陸慷報道局長は15日の会見で「我々はまず人命救助を第一に考えてきた。同時に汚染に対応する」と述べた。(上海=冨名腰隆)