拡大する写真・図版 ベルリンで16日、和歌集を手にするペーター・パンツァーさん(左)とマニュエル・ヘルダーさん=高野弦撮影

 皇后さまの和歌50首をドイツ語に翻訳した歌集「その一粒に重みのありて」が出版された。16日、ベルリンの日本大使館で記念式典が開かれた。

 式典では、翻訳を担当したボン大学名誉教授のペーター・パンツァーさんが、集まった約80人の日独関係者を前に講演した。「日本語で『重み』と言ってもモノが重いのか、存在が重いのか、さまざまな意味がある。ニュアンスの違いを表現するのにとても苦労した」と語った。

 翻訳のきっかけは、出版社ヘルダーの発行人マニュエル・ヘルダーさんが、東日本大震災の直後に皇后さまが被災者を思って詠まれた歌に感銘を受けたことだったという。知り合いを通じて宮内庁に打診し、同庁側が50首を選出。大学時代の恩師だったパンツァーさんに翻訳を依頼した。

 歌集には、震災の年に詠まれた「この年の春」も含まれている。

 草むらに 白き十字の 花咲きて 罪なく人の 死にし春逝く

 書家の石飛博光さんが書いた日本語の書に翻訳と解説が添えられている。144ページで価格は28ユーロ(約3800円)。(ベルリン=高野弦)