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(18日、大相撲初場所5日目)

 土俵を割った稀勢の里が腰から崩れ、尻をつき、頭から転げ落ちた。

 横綱の見るも無残な負け方に、館内を悲鳴とため息が包む。土俵下へと手を差し伸べる嘉風に視線を向ける余裕はない。うつむいたまま花道を下がる後ろ姿には悲壮感すら漂っていた。

 この日の立ち合いも腰が高かった。体が離れたタイミングで土俵際まで追い込んだが、簡単に両差しを許した。苦し紛れに振り回すも体を入れ替えられて万事休す。出羽海審判長(元幕内小城乃花)は「攻めようとしているのは見えるが、バタバタしている。何とかしたい気持ちはあるのだろうが……」。

 3日連続の金星配給は九州場所に続く屈辱。ただ、これまで途中休場した場所でも序盤5日間で4敗したことはなかった。内容を見ても、故障した左腕ではなく、下半身のもろさが際立つ分、状況は深刻だ。

 支度部屋で無数のフラッシュを浴びる中、この日も無言だった稀勢の里。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は心配そうに言った。「1人で戦っているわけじゃないのに、1人で背負い込んでいる。大事なのは自信を持つことだ」と。

 思い詰めた表情の横綱にこの言葉は届くだろうか。5場所連続休場となれば、進退問題に発展しかねない状況で、5日目は「やると決めたら最後まで」と出場に踏み切った。屈辱にまみれた4敗目を受けて、再び判断を迫られる。(岩佐友)