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 地下鉄サリンや松本サリン、弁護士一家殺害などオウム真理教が起こした一連の事件の刑事裁判がすべて終結する。最後となった元信徒・高橋克也被告(59)について、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)が18日付の決定で上告を棄却した。高橋被告は決定に異議を申し立てられるが、認められるのは極めて異例で、無期懲役とした一、二審判決が確定するとみられる。

 元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(62)が1995年5月に逮捕されてから22年半。一連の事件で起訴された教団幹部や信徒は計192人にのぼり、13事件で計27人を死なせた罪に問われた松本死刑囚ら計13人は死刑が確定し、一つの組織が起こした事件では戦後最多となった。裁判終結で、死刑執行について具体的な検討が始まることになりそうだ。

 高橋被告は17年間の逃亡の末、2012年6月に逮捕された。13人が死亡、6千人以上が負傷した地下鉄サリン事件のほか、猛毒の化学剤「VX」を使った2件の殺傷▽公証役場事務長の拉致▽東京都庁郵便小包爆発の計5事件に関わったとして起訴された。5事件で亡くなった人は15人にのぼる。

 15年1月に東京地裁で始まった裁判員裁判で、実行犯を送迎する運転手役を務めたとされた地下鉄サリン事件について、高橋被告は「まかれたものがサリンだとは知らなかった」と無罪を主張した。だが同年4月の判決は、被告は「サリンの可能性を含む危険性の高い毒物をまくと認識していた」と認定した。

 いずれの事件も、主導した教団幹部らに比べて従属的ではあったが「重要な役割を果たした」として有罪と判断。「逃亡中、被告が被害者に思いを致した様子はない」として、求刑通り無期懲役を言い渡した。

 16年9月の二審・東京高裁判決も、一審判決を支持した。弁護側は一審で教団元代表・松本死刑囚の証人尋問を実施しなかったのは違法だと訴えたが、判決は「尋問の必要性は低く、(松本死刑囚の)過去の態度からも供述を得られる可能性は乏しい」と退けた。

 裁判では11年までに、松本死刑囚ら13人の死刑が確定。12年に、逃亡生活を続けていた平田信受刑者(52)=懲役9年が確定=が逮捕され、無罪が確定した女性の元信徒と高橋被告も相次いで逮捕された。(山本亮介

     ◇

〈オウム真理教事件〉 13人が死亡、6千人以上が負傷した地下鉄サリン(1995年)のほか、坂本堤弁護士一家殺害(89年)、松本サリン(94年)など教団による一連の事件の総称。13事件で計27人の命を奪ったとして罪に問われた元教団代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(62)ら13人の死刑が確定した。事件を起こした組織の死刑確定者数としては戦後最多。

教団が起こした主な事件

1989年2月 元信徒田口修二さん殺害

   11月 坂本堤弁護士一家3人殺害

 94年1月 元信徒落田耕太郎さん殺害

   5月 滝本太郎弁護士サリン襲撃

   6月 松本サリン事件

   7月 元信徒冨田俊男さん殺害

   12月 水野昇さんVX(猛毒の化学剤)襲撃

      浜口忠仁さんVX殺害

 95年1月 永岡弘行さんVX襲撃

 95年2月 仮谷清志さん逮捕監禁致死

   3月 地下鉄サリン事件