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変形菌を育て研究する増井真那さん(16)

 自宅の机に積み重なった容器内に、黄や赤のネバネバした生き物が毛細血管のように枝分かれしている。南方熊楠(みなかたくまぐす)もとりこにした変形菌(粘菌)と呼ばれる単細胞生物を研究する。「10年育てているので、僕にはかわいく見えます」

 きっかけは5歳の時に見たテレビ番組。1時間に数センチしか動かない変形菌が、早送り映像でどんどん変化する様子に魅了された。母親と公園で探してみたが見つからず、日本変形菌研究会の観察会に参加。採集して飼い始めた。

 「どっちが餌を探すのが早いのだろう」。小学1年の時に2種類の変形菌を調べ、その成果が国立科学博物館の野依科学奨励賞に輝いた。その後もテーマを発展させ、9年連続で受賞した。

 いまは、別の変形菌とくっつく「融合」ができる相手をどうやって見分けるか調べている。昨夏、国際学会で発表すると、ドイツの研究者に声をかけられた。その研究者が編集に携わる国際的な科学誌に投稿する論文を準備中だ。

 東京の中高一貫校に通いながらの研究を文系出身の両親が支える。昨秋には飼育生活と研究をまとめた「世界は変形菌でいっぱいだ」(朝日出版社)を出版した。

 毎晩1~2時間かけ、餌のオートミールを与え、培地を変える。「変形菌はとにかくきれいで不思議。分かっていないことを追究していきたい」(合田禄)