保守派の論客として知られ、討論番組「朝まで生テレビ!」(朝生)など、メディアでも活躍した評論家の西部邁(すすむ)さんが21日、遺書を残して東京の多摩川に入り、78歳で亡くなった。思想や文化など、幅広い教養に裏打ちされた評論活動を展開した西部さんの死を、交流のあった人たちが悼んだ。

 西部さんは元東大教授。社会経済学が専門だ。著書「ソシオ・エコノミックス」(1975年)「経済倫理学序説」(83年)などで、主流の新古典派経済学のあり方を批判的に検討し、その後独自の思想・評論を発表。雑誌「発言者」「表現者」を主宰してきた。

 西部さんと親交が深く、共著もある中島岳志(たけし)・東京工業大学教授(近代思想史)は、「文芸評論家がおもに担ってきた戦後保守の中で、社会科学的な思考を導入して保守思想を展開した突出した思想家だった」と振り返る。その保守思想の特徴について、人間の合理性を疑いつつも「決して情緒に流れず、徹底して合理的に考え続けたことだ」と指摘する。

 近年、保守やリベラルという言葉の意味の問い直しが進むが、「西部さんは二つは対立するのではなく、相互補完的な関係にあることにいち早く気がつき、議論を展開していた」と評価する。思想家とは現代社会でどうあるべきか。その問いを真摯(しんし)に考え、実践した稀有(けう)な存在だったとも語る。「『思想家は時評から退いてはならない』という言葉を何度も聞かされた。明治時代の中江兆民や福沢諭吉らのように、思想とは、今起きていることにどう切り込むかによって生まれるという強い信念を最後まで持っていた。死をとても残念に思う」と嘆いた。

 柔和な語り口ながらも、時に過…

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