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 批判を覚悟で、2人のアタッカーがJ1川崎に移籍した。わずか1年での出戻りとなったFW大久保嘉人(35)と、横浜マ主将の座を捨てて新天地を求めたMF斎藤学(27)。強い気持ちで新シーズンに臨む。

 21日の新体制発表会見。大久保は、自ら口を開いた。「もちろん、批判されるだろう。それを楽しみ、覆すためにやっている」

 2013年、神戸を戦力外となり、川崎に入った。J1史上初の3年連続得点王に輝くなど在籍4季で通算82得点を挙げて完全復活した。昨季、自らの意思でFC東京へ移ったが、「外に出て、どこからでも点が取れる川崎のサッカーの素晴らしさに気づいた」。1億円以上あった年俸は半減、単年契約という厳しい条件で戻った。

 プロ18年目。「俺のサッカー人生、ほとんど批判されてきた。その先でつかむ喜びは、普通にやっているよりも大きい。今年はタイトルをすべて取る。そうすれば、誰も何も言えない」

 斎藤は、J2愛媛に1年間の期限付きで移籍したのを除けば、8歳から横浜マ一筋で育った。昨季も、川崎から誘われたが、断った。磐田へ移籍したMF中村俊輔の代わりに主将と背番号10を託された。

 転機は昨年9月。右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷を負った。全治8カ月の大けがだったが、川崎は今季も獲得を申し出てくれた。「そこで(気持ちを)揺さぶられた」

 自身のSNSには「裏切り者」「不愉快」と書き込まれたが、「自分が決めた道です」。背番号は、08年に横浜マでプロデビューしたときと同じ37を選んだ。「一から始めるには、いい番号だと思う」。まずはリハビリに全力を注ぐ。

 川崎の庄子春男GMは「引き分けを少しでも減らすための編成。得点に絡む選手が欲しかった」と説明する。昨季J1での9引き分けは、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を得た上位4チームで最多。うち6試合で1得点以内に抑えられていた。2位鹿島とは得失点差の争いとなるきわどい優勝だった。

 もともと攻撃陣が売り物で、昨季はJ1最多となる71得点を挙げた。23ゴールで得点王になったFW小林悠や10得点のMF阿部浩之、多くのチャンスをつくったMF家長昭博ら主力が今季も顔をそろえる。そこに大久保、斎藤と日本代表クラス2人が名を連ねた。

 鬼木達(とおる)監督は「高い志を持った選手が集まり、戦う集団になってきた」。今季の目標はACL、天皇杯、ルヴァン杯を含めた4冠。史上初の快挙を期待させるだけの戦力が、整った。(清水寿之)