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(23日、大相撲初場所10日目)

 今月は給料のない横綱が、分厚い懸賞金の束を上からわしづかみにした。鶴竜が初日から10連勝。万全の勝ちっぷりで、4度目の優勝へ歩を進めた。

 今場所を通じて、鶴竜の立ち合いは低く、速い。サッと仕切り線の中央あたりに左足で踏み込む。隠岐の海はわずかしか前に出られず、上体を起こしただけ。勝負あった。横綱は下からぶち当たり、右の前まわしをグイッとつかむ。寄って出る。相手が苦しまぎれに右へ回り込むと、絶妙のだし投げ。すかさず敵の背中から送り出した。

 「流れのいい相撲でしたね」。人のよさが顔ににじみ出る横綱は、淡々と10勝目を振り返った。今場所は立ち合いから攻めの姿勢を貫いているのではと問われ、「そこが一番いいところですね」と返した。

 元日馬富士の傷害事件で暴行を止められなかったと、1月は無給の処分を受けた。そして4場所連続の休場明け。大逆境で吹っ切れたからこそ、いつもの弱気が出ない。攻める。勝敗によっては引退していてもおかしくなかった時期に、「一人横綱」として堂々と優勝争いを引っ張る。

 今場所で手にした懸賞金は、月給の282万円を大きく超えた。奥さんは喜んでいるのではとの質問に、「そうでもない。そこで感情を出したらダメ」。カネじゃない。人生をかけ、鶴竜は土俵に上がっている。

 無傷の10連勝は、3度目の優勝を飾った2016年九州場所以来。攻め抜けば、たどり着けそうだ。(篠原大輔)

 八角理事長(元横綱北勝海) 「鶴竜はだいぶ落ち着いた。おっつけながら(まわしを)とってるから危なげない。これくらいから優勝を意識するでしょう」

 ○栃ノ心 過去5勝24敗の琴奨菊を下し1敗維持。「左の上手を取れればね。自信がある」。優勝争いに絡むが、「どうですかね。明日は明日」。

 ●御嶽海 7連勝の後、3連敗。支度部屋では報道陣の質問に答えず、最後に一言。「しっかり、一日一番ですね」

 ○大栄翔 勝ち越し。「突っ張って前に出られて良かった。気を抜かず、最後まで一番一番頑張ります」