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 「殺虫剤」って呼ばないで――。殺虫剤業界最大手のアース製薬が、マイナスイメージのある呼び名を改めようと動き始めた。他社では外装からゴキブリのイラストを消せる新商品も。市場拡大を狙い、業界が取り組むソフト路線化の「効き目」はいかに?

 ハエや蚊を駆除する「アースジェット」を手がけるアース製薬は今、小売店に配る販促物のデザインをがらりと変えようとしている。従来の「殺虫剤」という言葉を消し、代わりに「虫ケア用品」をうたう。「虫からケアする(守る)」という意味で、売り場に掲げるポップなどが3月ごろから変わる予定だ。

 すでに自社ホームページは新呼称に変更。小売店や同業他社にも賛同を呼びかけている。

 基幹商品の呼称を変えるのは、その名に付きまとう負のイメージを払拭(ふっしょく)するため。同社が昨年8月に行った全国の20~60代の男女500人への調査では、殺虫剤という呼び名に「人体に有害なイメージを持つ」人が34%、「使うのが怖い」という人が17%いた。小売店からも「『殺』という字を店内に掲げたくない」という声が上がっていた。

 蚊取り線香で知られる大日本除虫菊が2月に販売する「コックローチ ゴキブリがうごかなくなるスプレー」など2製品は、外装に工夫がある。ゴキブリのイラストが入った外装フィルムをはがすと、グレー地のシンプルな本体が現れる。

 素早いゴキブリを駆除するため、スプレーは手の届くところに置いておきたいが、ゴキブリのイラストが目につくのはイヤ。そんな利用者のニーズには応えたい。ところが、売り場でゴキブリ駆除剤と認識されなければ意味がない。使いやすさと売りやすさの両方を満たす新発想の二重の外装を、同社は「脱皮缶」と名付けた。

 フマキラーが2月に発売するエサでおびき出すゴキブリ用殺虫剤「ゴキファイタープロX(エックス)」は、うすい水色の球体。従来は黒い商品が多く、「見える場所に置くとゴキブリの出る家だと思われる」という声に対応した。

 日本家庭用殺虫剤工業会によると、ハエ、蚊、ゴキブリ、シロアリなどの害虫駆除剤の市場規模(2017年)は約820億円と、頭打ちの状態が続いている。一方、蚊が媒介するデング熱などの流行で、害虫駆除への関心は高まっている。業界は、マイナスイメージの払拭で市場の拡大を狙っている。(村井七緒子)