[PR]

難治がんで闘病中の朝日新聞記者、野上祐

 唱歌「グリーングリーン」で、「ぼく」は「この世に生きるよろこび そして悲しみ」をパパと語り合う。親と腹を割って話したことのない人が、ある日突然、喜びや悲しみをパパと2人で語り合うことは、(たぶん)ない。

 がんと告げられた時も同じだ。命に関わるからと言って、その時だけふだんと違った行動をすることは、まずない。これまで壁にぶつかった時に、どう自分の心をコントロールし、乗り越えてきたか。それまでの生き方が、がんへの対処に表れる。

 自分はどうだったか。頭が働かない時に備え、治療に関する知識や自分の考え方を配偶者に知っておいてもらう。「大丈夫だよね」と安心したがる時に、酷なのはわかりつつ、そう考える根拠はないと伝える。最悪の時は……という話が効きすぎたら、必ずそうなるわけでもない、と付け加える。一見、彼女をコントロールするようで、実はそうして話すことでお互いの頭を整理してきた。

 がんの中でも膵臓(すいぞう)がんの生存率は圧倒的にシビアだ。一昨年1月にがんの疑いを指摘された時は、患部を特定する精密検査を受けながら「ほかの臓器だったら」と願ったものだ。

 「これがラストチャンス」と普段と違う病院で言われ、主治医が渋る2度目の手術に踏み切ったものの、根治に必要ながんの切除はできなかった。昨年半ばには、ショック死するおそれから緊急入院した。昨年末も高熱が続き、新年は病院で迎えた。

 そうした一つ一つを乗り越え、気づいたら2年間がたっていた。いま、生きている。初めに思い描いた展開を考えると、そのことが信じがたい。

 いま振り返って、その意味合いの大きさに気づく決断がある。がんの疑いを指摘されたころに、病院探しを手伝えないかという政治家の申し出を断ったことだ。

 いつか取材現場に復帰するつも…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら