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 2000年に経営破綻(はたん)したそごうの「再生」の象徴としてつくられた創業者像が昨年末、神戸店(神戸市)から横浜店(横浜市)へ移された。神戸店の運営が阪急阪神百貨店のグループ会社に移ったためだ。もともと心斎橋本店(大阪市)にあったが、09年の閉店後に神戸へ。まさに業界再編とともに移りゆく。

 そごうの創業者、十合伊兵衛(そごういへえ)氏(1804~82)は1830(天保元)年に大阪で古着屋を開業し、77(明治10)年に心斎橋に店を構えた。十合氏のブロンズ座像は大きさが75センチ。西武百貨店との統合後、2005年に心斎橋本店が建て替えられた際につくられた。

 当時の統合会社の社長で、西武百貨店出身の和田繁明氏(84)が「西武にも創業者の堤康次郎氏の像がある。創業者の座像を再生の象徴にしたい」と制作を指示したという。

 その後、そごう・西武はセブン&アイ・ホールディングスの傘下に移り、心斎橋の本店は09年、業績の低迷から再び閉店。座像は、本店の次に歴史がある神戸店の屋上に移された。本店自体は09年に大丸に譲渡されている。

 だが、その神戸店が昨年、阪急阪神百貨店を傘下に置くエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングへ譲渡されてしまった。セブン&アイが、百貨店事業を首都圏に集約するためだ。十合氏の座像も昨年11月、神戸を離れ、そごうの本店格である横浜店に移った。

 横浜店では同12月3日早朝、店長ら店幹部が出席して鎮座式が行われた。神職が「末永くとどまっていただき、社業が繁栄するよう、お見守りいただきたい」と祝詞(のりと)を奏上し、出席者が玉串を捧げた。

 いま、十合氏の座像は横浜店11階屋上で、創業の地である大阪、西の方角を向いて座っている。(編集委員・多賀谷克彦