【動画】ロープウェーの山頂駅周辺と救助のスノーモービル=野津賢治撮影、消防庁提供
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 川崎市の男性(60)は、ロープウェーの山頂駅近くからスノーボードで滑り降りようとしていた。まさにその時、「ボコボコ」という「変な音」に気が付いたという。

 直後、真っ黒い噴煙が立ち上り、噴石も数多く降ってきた。1個が20~30センチほどのものもあった。辺りがあっという間に真っ暗になり、息苦しくなった。

 近くに雪のくぼみを見つけ、しばらく身を潜めた。「2、3分くらいだと思うけど倍ほどに感じた。死ぬかと思った」。噴石が左腕や背中に当たった。着ていた上着が破れるほどだった。訓練中の自衛隊員が近くにいたが、両足の骨が折れたり、頭を打ったりした隊員がいた。無事だった右腕を使って隊員の救助を手伝った。

 使えなくなったスノーボードを片足につけたまま、自力で歩いて下山を始めた。過去に何度も来ているなじみのコースだったが、下山後、病院に運ばれて「生きてて良かった」としみじみ思った。

 山頂のレストランでコーヒーを飲んでいた地元の菅沼勝さん(73)は「ドーン」という爆発音のような大きな音に驚いた。「噴火だ!」と叫ぶ声がしてすぐに黒い噴煙が見え、飛んできた噴石がレストランの天井を2カ所突き破った。地階に避難後、外に出るとコースの一部が真っ黒になっていた。

 東京都江戸川区の金子直樹さん(36)は、ロープウェー山頂駅からさらに上のコースに向かうリフトに乗っていた。スマートフォンで風景を撮影していると、煙が上がるのが見えた。

 「噴火だ、まずい」

 リフトから約1メートル下の雪面に飛び降り、林をみつけて逃げ込んだ。サッカーボールほどの大きさの噴石が飛んできたのが見えた。

 直樹さんの妻典子さん(43)は、直樹さんを追って山頂駅に向かうゴンドラの中にいた。火口方面から上がった黒い噴煙は、風下側に広がって辺りが見えなくなった。「ザーザー」と雨のような音がゴンドラ内で聞こえ、少し開いていた窓のすき間から砂のようなものが入ってきた。ゴンドラに他の客はおらず、1人きり。「もうダメかと思った」と振り返った。

 長野県軽井沢町の桜井皓平さん(33)は、ロープウェーのゴンドラ内で「ドーン」という音を2回聞いた。ロープウェーの支柱が揺れ、飛んできた噴石が「パチパチ」とゴンドラをたたく音がした。噴き上がる噴煙を見て「御嶽山の噴火の映像を思い出した。もう終わりかなと思った」。頭を手で守りつつ、うずくまって祈った。時間がとても長く感じられた。