[PR]

「トランプ王国」熱狂のあと ラストベルトに住んでみた:2

 オハイオ州ウォーレンに住み始めると、住人らが気軽に声をかけてくれるようになった。11月の日曜日、大家さん夫妻から「コーヒーでも」と誘われた。

 アパート近くの喫茶店。ビル(78)とジョゼット(64)と3人で席に着いた。暖かそうなフリースを着込んだビルがさっそく聞いてきた。

 「ニューヨークの街角では、ローストしたチェスナッツ(焼き栗)を食べさせてくれる屋台は今もあるかな? あなたは食べたかな? あの味が忘れられなくてね。本当においしいんだよ」

 私もいろんな屋台を試したつもりだったが、焼き栗は知らない。そう答えると、横に座ったジョゼットが歌い始めた。

 ♪暖炉で煎る栗 Chestnuts roasting on an open fire

 ♪あなたの鼻を凍えさせるジャックフロスト(雪の精) Jack Frost nipping at your nose

 ♪合唱団が歌うクリスマスキャロル Yuletide carols being sung by a choir

 ♪エスキモーのような服を着ている人々 And folks dressed up like Eskimos

 「なるほど!屋台の焼き栗は、このクリスマスソングの情景なんですね」。なぜ栗の話をしているのかやっと理解できた私の反応に2人は喜んだ。

 ラストベルトの厳しい冬が近い。

ためらいがちにトランプを支持した大家さん

 大家さん夫妻とは4カ月前に地元の食堂で知り合った。ビルは製鉄所と鉄工所に通算40年ほど勤め、今も現役。ジョゼットはゼネラル・モーターズ(GM)で高校卒業から退職まで30年間働いた。2人とも長年の民主党支持者だったが、昨年は共和党候補トランプに入れた。

 私がアパートを借りた町ウォーレンは、ラストベルト(さび付いた工業地帯)にある。かつて製鉄業や製造業で栄え、多くのブルーカラー労働者が中流家庭を築き、誇りをもって暮らしてきた地域だ。いまは製造ラインが海外に流れ、さらには自動化も進み、多くの雇用が失われた。これまでは民主党を支持する傾向が強かった労働者の多くがトランプ支持に流れたため全米の注目を集めた。

 この意味で、ビルとジョゼットの夫妻は、この地域の象徴的な有権者といえる。ただし、4カ月前の取材メモには、民主党候補だったヒラリー・クリントンへの批判が並び、「トランプは2人の候補の間ではマシだった」とある。つまり2人は、熱心な支持者というわけではなかった。

 ためらいがちにトランプに投票した2人が、この1年の政権運営をどう見ているのか聞いてみた。

「ファミリービジネス」に妻不満

 「20点。品位に欠け、大統領らしく振る舞えない。不動産ビジネスに残るべきだったと思う」

 ジョゼットの評価は厳しい。ニューヨークでトラックを暴走させて8人を殺害した男について「死刑になるべきだ!」とトランプが発信したことについては、「庶民感覚」と評価するが、他に評価できる点は思いつかないという。

 何より政権をファミリービジネスのように扱うことが不満だ。

 「(娘)イバンカを重用しすぎ…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら

こんなニュースも