[PR]

 大阪維新の会が今秋の実施をめざす大阪都構想の住民投票をめぐり、前代表の橋下徹氏が「先送り論」を展開した。維新にとっては住民投票に向けて本格的な活動を始めようとしていた矢先の発言で、今後の戦略に影響を与えそうだ。

 「今秋に住民投票の実施を実現したい」。維新の政調会長でもある吉村洋文・大阪市長は23日、都市制度を議論する市議会の委員会で、改めて強調した。

 維新は、住民投票に向けて活動を本格化させる考えだ。26日には所属議員らを集めた会合を開き、都構想への活動方針を協議する。27日には、維新代表の松井一郎・大阪府知事と吉村氏が参加し、都構想を説明する街頭タウンミーティングを初めて開く予定だ。

 そうした中で橋下氏が発した住民投票の先送り論。背景には、維新が大阪府と大阪市のトップを握るなかで連携が進み、それが逆に都構想の不要論につながっているとの考えがある。

 橋下氏が都構想をめざしたのは、大阪府と大阪市の「二重行政」を解消し、意思決定を一本化するためだった。維新が2011年に府知事と市長のダブル選挙を制して以来、府と市は「バーチャル大阪都」を掲げて連携を強化してきた。府と市の研究施設などの統合を進め、カジノを含む統合型リゾートや万博の誘致も連携して進めている。

 こうした状況に、橋下氏は朝日新聞のインタビューで、「おおかたの市民は今で良いと思っている」と指摘。現状では住民投票の勝算が見通せず、再び廃案となれば都構想の実現の可能性がなくなるとの懸念から、住民投票の先送りに踏み込んだとみられる。

 住民投票の先送りは、昨年から維新の市議らからも上がっていた。これに対して松井氏は昨年12月、記者団に「無責任極まりない。任期の中で公約を実現するというのが政治家として当然の話だ」と批判し、あくまでも今秋の実施をめざす考えを示していた。

 ただ、住民投票を先送りしても、展望は開けない。

 住民投票の実施には両議会での議決が必要で、キャスティングボートを握る公明党の協力が欠かせない。公明は、大阪で選挙の強い維新に配慮して前回の住民投票の実施には賛成したが、都構想自体には反対だ。仮に来年春の統一地方選挙で維新の勢力が伸びなければ、公明の協力が得られなくなる可能性もある。(池尻和生、左古将規

こんなニュースも