[PR]

 生活保護受給者のパチンコや競馬などのギャンブルをめぐり、全国の自治体がお金を使いすぎている恐れがあるなどとして2016年度に指導・助言を計3100件していたことが、厚生労働省の初めての全国調査で分かった。受給者のギャンブルは禁止されていないが、厚労省は使いすぎは本人の自立の妨げになるとし、自治体に適切な指導を引き続き求める方針だ。

 調査はギャンブル依存症が社会問題化するなか、生活保護受給者の実態を把握する狙いで実施。福祉事務所を置く自治体に16年度中のケースワークの記録をもとに報告してもらった。

 指導・助言のギャンブル別の内訳では、パチンコが2462件で最も多く、約8割を占めた。競馬の243件、宝くじ・福引などの132件が続いた。

 生活保護費は、定められた最低生活費から収入を差し引いた額が毎月支給される。ギャンブルでもうけた場合は収入として申告する必要がある。指導・助言の内容は、使いすぎの恐れのほかにこの申告を促すことなどだったという。

 16年度にギャンブルによる収入申告があったのは、464件で計4億260万円。最多は宝くじ・福引などの215件で、計3億8675万円だった。一方、申告しなかったり、実際より少ない金額を申告したりして生活保護費を不正受給していたのは100件、計3056万円あった。

 生活保護の受給者数は約213万人。調査では同じ人に複数回指導した場合も含まれており、厚労省の担当者は「指導の内容も様々で、件数自体を評価することはできない」とする。ただ、使いすぎで食費などを削ったり、依存症に苦しんだりする人もいるとし、「金銭管理の支援や医療機関などとの連携を進める手がかりとしたい」と話す。

 生活保護制度に詳しい花園大学の吉永純教授は「綿密な調査ではないものの、受給者の数から見れば指導件数は非常に少ない。イメージされがちなほどギャンブルにお金が浪費されているわけではないことを裏付ける結果だ」と指摘する。その上で「娯楽にお金を使うこと自体は問題はないが、家計に支障が出ていれば指導が必要な場合もあるし、依存症の疑いがあれば治療機関と連携するなど、最低限度の生活を守るための適切な支援が求められる」としている。(佐藤啓介)