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 音楽教室からの徴収方針を打ち出したり、映画業界に上映権使用料の値上げを要求したりと、徴収強化の動きが目立つ日本音楽著作権協会(JASRAC)。その姿勢に対して高まる世間の批判を、どう受け止めているのか。いではく会長(76)に聞いた。

 いで会長は英語教材制作などを経て作詞家になったという異色の経歴だ。JASRAC会長には2016年4月に就任。会長は対外的な顔で実務には携わらないが、理事会の求めに応じて実務を担う理事の候補を選び、理事会で意見を述べることができる。

 いで会長は作詞について「絵空事では人の心を打たない。知識や経験、感情を投入し、身を削って書いている」と強調。ヒット曲「北国の春」は故郷、長野県の厳しい冬や小学校1年で亡くした父を思いながら書いたという。

 そうした労苦を経て生まれた楽曲をビジネスで使う際は著作権料を支払うのが当然、と主張する。音楽教室についても「学校教育と違って受講料を受け取るビジネス。どんなビジネスだって仕入れ原価はゼロではない」と話す。

 JASRACは徴収する際の料率を受講料収入の2・5%としている。この料率についても「広報の仕方が悪いのかもしれないが、莫大(ばくだい)なお金を徴収するという誤解が広がっている。受講料が3千円なら75円に過ぎない」。

 ただ、ネットユーザーを中心にJASRACへの批判が根強くあることは認識しており、「職員の意識改革に努めたい」と述べた。「職員に官僚的な臭いがあるのは事実。作詞家や作曲家の代理人という黒衣に徹するゆえかもしれないが、サービス業という気持ちでやって欲しい。徴収の際も『法律で決まっているから払って下さい』でなく『ありがとうございます』という姿勢で接する必要がある」

 16年度の年間徴収額は1118億円で、このうち徴収・分配の費用に使う「手数料収入」は132億円。この中から理事の報酬を支払うが、理事長や各理事の報酬額を公表していない。「透明度を高めていく努力は必要」と述べた。

 いで会長はJASRAC主催のコンサートであいさつに立ち、音楽教室からの徴収に理解を求めるなど、自ら説明もしてきた。職員出身の浅石道夫理事長とともに今年、改選期を迎える。「浅石君はまじめで堅く、私は柔らかい性格。浅石君の『あ』と、いでの『い』で愛。愛されるJASRACをめざして2人で頑張りたい」と、続投に意欲を示した。(赤田康和

いではく氏の略歴

 1941年生まれ。作曲家の遠藤実に師事して作詞家に。手がけた作品は300曲超。主な作品に「すきま風」(杉良太郎)、「昭和流れうた」(森進一)、「人道」(北島三郎)など。