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(26日、大相撲初場所 13日目)

 土俵下で見守った藤島審判長(元大関武双山)も驚いていた。「相四つ。逸ノ城にがっぷり四つで寄り切るのは、栃ノ心くらいでしょう。横綱、大関でもがっぷりでは厳しい」。215キロに快勝し、栃ノ心が優勝へ大きく前進した。

 怪力力士の本領発揮だった。いきなり両者得意の右四つで両まわしを引きつけた。先に攻められたが、引きつけて逆襲。巨漢を持ち上げるようにつり気味に寄る。腕を張ったため、相手の左上手が勝手に切れたところで勝負あった。

 単独首位で初の土俵を務めて、「考えると、ドキドキ。あと2日、あまり考えないように」と前日と同じコメントを繰り返した。だが、この日は「歓声が大きい。いつもと違う。みんな応援してくれるから頑張らないとね」と続けた。

 所属する春日野部屋は、すでに辞めた若手力士の傷害事件が明るみに出た。だが、その暗い雰囲気を吹き飛ばすかのような頑張りに、師匠(元関脇栃乃和歌)も「普段から努力家。今場所はやる気満々で、『勝ってくれればよいが』と思っていたが、ここまでとは」と話した。

 13日目を終えて平幕の単独首位は2004年夏場所の北勝力以来。だが、その時は1差。1敗の北勝力が千秋楽で敗れ、追いついた朝青龍が決定戦で勝った。しかし、今回は追う横綱の鶴竜が力なく3連敗し、その差は星二つになった。

 不祥事、2横綱休場など混迷の中の本場所は、いよいよ大詰めが近づいた。(竹園隆浩)

 ●鶴竜 御嶽海に電車道で持っていかれる。「集中してないから、ああなる」。勝ちっ放しだった10日目までとは別人。

 ●逸ノ城 「(栃ノ心は)攻めが速くて何もできなかった。前に攻めたんですけど、どっしりしていた」

 ○御嶽海 鶴竜に完勝し連敗を5で止め、勝ち越し。「自分の相撲を見つめ直した。何があっても押していく気持ちだけでした」

 ○高安 「理想の相撲」と自画自賛の内容で10勝目。「昇進後、なかなか大関らしい相撲が取れなかった。残り2日、前に出る相撲を見せたい」