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 刑務所で服役する受刑者の高齢化が進んでいることを受け、法務省は2018年度から全国8カ所の刑務所に入った60歳以上の受刑者を対象に認知症検査を始める。早期に症状を把握して、刑務作業や治療面で配慮する。刑務所職員の負担軽減にもつながるという。上川陽子法相は30日の閣議後会見で、「ほかの刑務所でも状況を見極めながら、必要な対策を講じたい」と述べた。

 犯罪白書によると、刑務所に入った65歳以上の受刑者は、06年の1882人(全体の5・7%)から16年には2498人(同12・2%)に増えた。同省が15年に60歳以上の受刑者を抽出調査したところ、認知症傾向があった受刑者は全体の約14%に上り、全国で約1300人いると推計された。認知症の症状がある受刑者は、服役中の作業の手順が覚えられなかったり、集団行動ができなかったりしているという。

 こうした状況を受け、同省は18年度から、受刑者が多い札幌、宮城、府中、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の8刑務所に新たに入った60歳以上の受刑者を対象に、認知症検査を実施することにした。刑務所職員が受刑者に年齢を聞いたり、簡単な引き算をさせたりして受刑者の記憶力や計算力を調べ、認知症の症状があるかどうかを検査。その後、医師に確認してもらう。症状が見つかった受刑者には、刑務作業を軽減したり、認知機能の低下を防ぐ体操や計算トレーニングをさせたりして、処遇面でも配慮するという。

 8刑務所では18年度から、認知症に対する理解を深めるための刑務官の研修も実施し、介護専門スタッフを増員する。また、受刑者が出所する際は社会福祉施設などに引き継ぎ、円滑な支援にもつなげる考えだ。

 同省は17年度から介護専門スタッフを32施設に1人ずつ配置し、刑務官による介護を補助してもらうなどの対応をとっている。(小松隆次郎)