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 大相撲初場所13日目の26日、東幕下17枚目の若隆景(わかたかかげ)(23)=本名・大波渥(おおなみ・あつし)、福島市出身、荒汐部屋=が幕下優勝を飾った。栃青龍との6戦全勝対決。立ち合いはよくなかったが、相手の左おっつけに揺るがず、最後ははたき込んだ。「おとといぐらいから、すごい緊張感があった。ホッとしました」と喜んだ。

 相撲一家に育った。祖父は元小結の若葉山、父は元幕下の若信夫。二人の兄は荒汐部屋の兄弟子で、長男の渡(26)は若隆元、次男の港(24)は若元春のしこ名で戦っている。しこ名は師匠の荒汐親方(元小結大豊)につけてもらった。戦国大名の毛利元就が「三本の矢」の教えを授けた3人の子(毛利隆元・吉川元春・小早川隆景)の名に、祖父と父のしこ名から「若」を冠した。「3兄弟で力を合わせて部屋を盛り上げてほしい」との願いが込められている。

 兄2人が学法福島高から角界入りしたのに対し、三男は同校から東洋大に進んだ。体が小さく、いますぐには通用しないとの思いがあった。大学で筋肉の鎧(よろい)を身につける。4年時の全国学生選手権で準優勝。三段目最下位(100枚目)格付け出しの資格を得て、昨年の春場所でデビューした。

 現在は身長181センチ、体重116キロ。「まだまだ小さいので、体重を増やすのが課題です。何回にも分けて、しっかり食べるようにしてます」。立ち合いでの意識も変えた。先場所で初めて負け越し、師匠から「いまの立ち合いでは上位で通用しない」と言われた。小手先のテクニックに走りがちだったのを、一度思い切りぶち当たることにした。「相手を下から起こして、一歩でも押し下げてから相撲を取る」と決め、実践したことが今場所の全勝優勝につながった。

部屋では毎日三人で申し合い

 13日目まで長男は東幕下34枚目で5勝1敗、次男は西幕下6枚目で3勝3敗。部屋では毎日のように三人で申し合いを重ねる。三男は「3人が一緒ぐらいの力です」。誰が最初に関取になるか、の勝負がある。

 長男は弟が先に関取になった場合、「お前を付け人にする」と荒汐親方から言い渡されているという。「弟の背中は拭きたくないですよ。上がってほしいけど、上がってほしくない。何としても先にならないといけないですね」と話したことがある。兄のプライドだ。

 福島の大波3兄弟が部屋だけでなく、角界を盛り上げる日が来るか。(篠原大輔)