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 東日本大震災から7年。福島県立岩瀬農業高校(鏡石町)のたった2人の演劇部員が10日、東京都内で劇を上演、風化が進む震災や原発事故の記憶を忘れないよう訴える。部顧問の山崎隆久教諭(56)が体験を基に書いた「福島サテライト―2011―」。

 山崎教諭は震災当時、県立原町高校(南相馬市)に勤務していた。同校は東京電力福島第一原発から半径30キロ圏内にあり、緊急時避難準備区域となったため、生徒たちは協力校の空き教室に間借りするサテライト方式で授業を受けた。劇では津波で家が流されて「サテライト」に通う生徒と先生の絆を描いた。

 生徒役の2年生柳沼茉紘(まひろ)さん(17)は当時、小学4年生。南相馬市に住んでいた祖父母が郡山市の自宅に避難してきた。放射性物質から身を守るため、登下校はマスクを着けたことを覚えている。「東京で上演するのは原発事故の被害を忘れてほしくないから。忘れたら同じ悲劇が繰り返されます。放射線被害=汚いというような偏見もなくしてほしい」と話す。先生役の2年生星未悠(みゆ)さん(17)は、当時、家で友達と遊んでいる時に揺れ始め、怖くて泣いていたという。「津波や原発事故で傷ついた人たちの気持ちを知ってほしい」と言う。

 公演は、被災地の舞台芸術家を支援する日本演出家協会主催のフェニックスプロジェクトの一環。上演後、震災や原発事故を演劇にし続ける理由などを語り合うシンポジウムもあり、岩瀬農高を始め県内にある四つの高校演劇部の生徒や顧問ら約20人が参加する予定。

 県立光南高校(矢吹町)の演劇部顧問で、プロジェクト実行委員の佐藤茂紀教諭(54)は「震災や原発事故を福島だけの問題としてはとらえず、皆の問題として共有しようという思いを伝えたい」と話す。

 午後6時から中野区の中野スタジオあくとれ。千円(高校生以下500円)。問い合わせは同協会(03・5909・3074)へ。(山根由起子)