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 みそカツなどの名古屋めしで使われる愛知県特産の「八丁味噌(みそ)」が昨年12月、農林水産物や食品を地域ブランドとして守る国の「地理的表示保護制度」(GI制度)に登録された。だが、発祥地の同県岡崎市を拠点にする代表的な老舗2社の製品は対象から外れた。2社は国への不服申し立ても検討している。

 八丁味噌の名は岡崎城から西へ8丁(約870メートル)の八丁村(現・岡崎市八帖〈はっちょう〉町)で造られたのが由来。江戸時代からこの地で操業する「株式会社まるや八丁味噌」と「合資会社八丁味噌」が今回、登録されなかった。八丁味噌の生産地を巡り、農林水産省と2社の間で調整がつかなかったという。

 2社は制度が始まった2015年6月に八丁味噌の登録を申請した。一方、2社が加盟しない「愛知県味噌溜醬油(たまりしょうゆ)工業協同組合」(名古屋市、43社)も同じころに申請し、農林水産省が調整を続けてきた。

 協同組合は生産地を「愛知県」としたのに対し、2社は「岡崎市八帖町」に限定した。農水省は「八丁味噌は愛知県内各地で造られており、生産地が『岡崎市八帖町』だけでは狭すぎる」として、2社に再検討を打診した。だが、折り合いがつかなかったため、2社は昨年6月に申請を取り下げ、協同組合の申請がその後、認められた。

 「まるや八丁味噌」の浅井信太郎社長は「作り方や品質の違う『八丁味噌』を2社のものと思って買う消費者がいるかもしれない」と懸念する。「合資会社八丁味噌」の早川久右衛門社長は「まさかという気持ちだ」という。

 登録された産品は、品質面で国が「お墨付き」を与えたことを示す「GIマーク」を付けて販売できるが、2社の八丁味噌には付けられない。農水省の担当者は「2社が、今回登録された『八丁味噌』の枠組みに参加すれば、GIマークを付けられる」と話している。(大野晴香)

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 〈地理的表示保護制度〉 地域ならではの独特の製法や品質を確保できる農林水産物や食品に、国が品質面で「お墨付き」を与える制度。海外への輸出や国内での販売拡大につなげるのが狙い。農水省によると、これまでに「西尾の抹茶」(愛知県)や「特産松阪牛」(三重県)、「堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)」(岐阜県)など58産品が登録された。