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 京都にあるステッキと杖専門店が、亡くなった人向けの杖の販売を始めた。「天国のつえ」。金具を使わず、一緒に棺に納められる。「あの世でも元気に歩き回ってほしい」という遺族の願いに応えた。

 「納棺できる杖はないですか」。こんな問い合わせが「つえ屋」(本店・京都市中京区)にかねて年5、6件寄せられていた。足腰が弱ったお年寄りにとって杖は生活に欠かせない。坂野寛(ゆたか)社長(58)は「杖と一緒に旅立つことで、本人も遺族も安心する。杖は心の支えでもある」と感じた。

 杖は本体が木製でも補強用のねじや金具、ゴムなどが使われることが多く、通常は斎場などの取り決めで納棺できない。需要はあるのに断らざるを得なかった。そこで坂野さんは昨年7月から試作を重ね、木材だけでできた杖を完成させた。燃えやすいカエデを用い、ねじで固定する部分は強力な接着剤を使用。金具を使った杖より強度は劣りふだん使いには適さない。

 当初の商品名は「三途(さんず)の川のつえ」。「ちょっと暗いのでは」との意見を踏まえ「天国のつえ」に決めた。

 2月に売り出したところ関西の複数の葬儀会社から問い合わせがあり、すでに数百本納品した。杖はT字形で長さ85センチ。黒のつやあり・なしと白木から選べる。「般若心経」「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」と書いた仏教徒用3種類に加え、十字架を刻印したキリスト教徒向けを用意。価格は1本2万2千~2万5千円。店舗(075・221・9988)やホームページ(http://www.e-104.info/別ウインドウで開きます)、葬儀会社などを通じて販売する。