[PR]

 「解答不能な設問がある」と予備校講師らから指摘を受けた京大の昨年の一般入試の物理の問題は、大手予備校が発表している解答例も二つに分かれていた。その理由は、音波の考え方にありそうだ。

 波には「縦波」と「横波」がある。水面波やひもを揺らしたときの波は横波でイメージしやすい。ずれを意味する「変位」という言葉から横波は「変位波」とも呼ばれる。

 一方、空気中を伝わる音は縦波だ。例えば太鼓をたたくと、太鼓の膜の振動によって、空気は圧縮と膨張を繰り返す。そのため、空気の「密」な部分と「疎」な部分ができ、その振動が音波として伝わっていく。波の進む向きと空気の振動方向が一致するため縦波(疎密波)と呼ばれる。イメージしにくい縦波は、高校物理では横波に変換して考えることがある。

 だが、波が固定された壁に反射する場合、横波と縦波ではふるまいが変わる。横波では、波の「山」が反転して「谷」になって反射するため、波の形がずれる。一方、縦波では、空気の「密」は「密」のまま反射するため波の形はずれない。

 指摘があった京大の問題は、この波の形のずれを元に、解答を導く。予備校が出版している解答例は、壁の反射で波の形がずれると想定したか、ずれないと想定したかで解答が分かれた。京大に設問の不備を指摘した京都市の予備校講師の男性(31)は「音波をどちらで考えるかによって、壁での反射の解釈が分かれてしまう。問題の条件設定があいまいだ」と指摘していた。(石倉徹也、後藤一也)