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 茂木敏充経済再生相(衆院栃木5区)の秘書が選挙区内で線香や手帳を配っていた問題で、茂木氏は1日の参院予算委員会で、秘書らによる配布について「知っていた」と述べた。安倍晋三首相は「疑いをかけられれば、しっかり説明責任を果たしていくものと思う」と語った。

 民進党の石橋通宏氏の質問に答えた。茂木氏は、2014~16年に配布していたことは確認できると説明。13年以前も「ある程度の年数は行っている」と述べた。配布は党勢拡大のためで、「指示はしていない」と語った。

 茂木氏によると、線香などを配っていたのは、茂木氏が支部長を務める「自民党栃木県第5区支部」の職員や自民党員の秘書ら。公職選挙法により、政党支部は政治家らの名前を表示したり、名前を類推させたりする寄付が禁じられている。総務省は1月30日、政党支部の職員や秘書が名前の書かれていない政党支部の寄付を持参することは「直ちに氏名が類推される方法とは言えない」との見解を示した。

 ただ、線香配布では1999年、自民党の小野寺五典氏(現防衛相)が公選法違反で書類送検。翌年、罰金刑を受けた。茂木氏は1日の参院予算委で「秘書は代理ではなくて政党支部の活動として行っている」と主張した。

 これに対し、野党側は「受け取る側が(茂木氏からだと)類推すればアウトだ」(石橋氏)と批判。さらに日本維新の会を除く野党6党は1日、公選法を所管する総務省に違法性について見解を聞く合同ヒアリングを2日から始めることを決めた。(山岸一生)

 〈上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)の話〉 総務省の見解は茂木氏に有利な解釈と言え、公職選挙法法の規定をザルにするようなものだ。個人的に付き合いがない者から線香や手帳を無償で渡されれば、「なぜだろう」となるのが普通だ。線香や手帳に茂木氏の名前が書いていなかったとしても、秘書が持参すれば、茂木氏の代わりに持ってきたと有権者は受け止めるだろう。つまり、茂木氏から無償で供与された線香や手帳だと類推できる。そうであれば、違法な寄付にあたる可能性が極めて高いと言える。

 〈富崎隆・駒沢大教授(政治学)の話〉 司法判断は別にあるとしても、行政官庁として、総務省が見解を出すのは一定程度理解できる。ただ、公職選挙法は形式的なので、線香を配るようなサービス合戦が展開されてしまう。そうした状況は政治倫理上、問題がある。総務省はもっと分かりやすく、シンプルなガイドラインを作るべきだ。政治家は、物品を配って支持を広げようとする選挙運動から撤退し、政策で競わなければいけないはずだ。与野党が合意する形で、公職選挙法の規制を健全な形に近づける必要がある。