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 長崎市の認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」で2013年2月、入所していた高齢者5人が死亡、5人が重軽傷を負った火災で、業務上過失致死傷の罪に問われた施設の運営会社元代表、桝屋幸子被告(66)の判決が1日、長崎地裁であった。小松本卓裁判長は禁錮2年執行猶予4年(求刑禁錮2年)を言い渡した。

 桝屋被告は消防法令で定められたスプリンクラーを設置していなかったとして在宅起訴された。弁護側は公判で、スプリンクラーの設置について「消防から問題を指摘されたことはなく、設置義務があると認識していなかった」などと主張していた。

 判決は、道路に面した出入り口が2階にしかなかったことや、自立歩行が困難な認知症高齢者が多く住んでいたことから「火災になった際の危険は容易に予見でき、スプリンクラーを設置しなかったことがやむを得ないとは到底考えられない」と指摘。「火災が起こることはないなどと安易に考え、漫然と施設の運営管理をした結果は重大。被害者、遺族らの無念さは察するに余りある」とした。一方で、ほとんどの遺族、被害者との間で示談が成立していることなどから執行猶予とした。

 おばの井上ハツコさん(当時86)を火災で亡くした飯田光一さん(60)は判決を傍聴。「実刑を望んでいたので判決は軽い。ハツコおばさんも他の被害者の方も、天命をまっとうできずに無念だったと思う」と語った。高齢者も住む札幌市の共同住宅で1月31日に起きた火災について、「最後のすみかとして入居している人も多いと思う。施設側は、自分の親や家族を介護している気持ちで運営してほしい」と話した。(田中瞳子、田部愛)