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特派員リポート 守真弓(シンガポール支局長)

 昨秋以来、世界中で「#MeToo(私も)」とセクハラや性被害を訴える声が広がっているが、シンガポールはもともとこうした問題にもっとも厳しい国の一つだ。体を触るといったわいせつ行為は、むち打ちや禁錮刑などの実刑になり、加害者の写真はテレビや新聞で大きく報道される。性犯罪やセクハラは、社会の秩序を乱し、成長の要である外資企業の誘致を阻む重大な社会問題――。そんな認識がシンガポールでは徹底している。

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「日本は伝統的に均質で男性上位のヒエラルキー社会で、女性が性被害を訴えることを好まない。そうした社会や職場の『普通』に負けないこと」

「日本の警察は被害者と加害者の言い分が食い違う事件を扱うことにちゅうちょすることが多い。捜査や裁判を進めるためにできるだけ証拠を集めること」

 昨年11月、政府系の地元大手紙ストレーツ・タイムズの電子版を読んでいてこんな文章が目にとまった。アジア各地のセクハラ事情を紹介する記事。日本はインドと並ぶ「女性がセクハラや時にはレイプを我慢しなければならない国」だとして、日本に暮らす人々にこんな助言をしていた。紙面でも見開きで大きく展開し、望まない性行為を強要されたとして、元TBS記者の山口敬之氏に損害賠償を求める訴訟を起こした伊藤詩織さんの告発についても詳述。「性犯罪の被害者がほとんど声を上げることのない国では珍しい事例だが社会の大きな変化にはならないだろう」という識者の声も掲載していた。

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 シンガポールでは合意なく体を触るなどのわいせつ行為は「非礼罪」にあたり、2年以下の禁錮刑や罰金、むち打ち刑などの厳罰が科される。

 もしビデオ盗撮や痴漢行為などで有罪となれば、初犯であっても執行猶予もなく実刑が言い渡されることも多い。町中に防犯カメラがあり、行為の立証も比較的たやすく、治安維持を重視するため、被害者が示談に応じて訴えを取り下げようとしても認められないこともある。

 今年1月には混雑した地下鉄の中で女性の体を触ったとして37歳の男が1年半の禁錮刑と4回のむち打ち刑に、昨年12月にはエレベーター内で女性2人の体を触ったとして28歳の男が10カ月の禁錮刑になった。悪質な事件だとされればメディアに顔や名前、職業など個人情報が掲載される。

 2014年には「ハラスメント防止法」が成立。言葉による侮辱、攻撃も対象となり、6カ月の禁錮刑または罰金5千シンガポールドル(約40万円)が科されるようになった。不適切なメールを送ったり、時にはプレゼントを渡したりすることさえも「ストーカー行為」とされる可能性がある法律だ。

 それにとどまらず、今年中には…

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