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 トランプ米政権は2日、今後5~10年の核政策の指針となる核戦略見直し(NPR)を発表した。中国やロシア、北朝鮮への対抗姿勢を鮮明にし、新たな小型核兵器の開発や、非核攻撃への反撃にも核を使用する可能性を明記した。「核なき世界」を掲げて核の役割縮小を目指してきたオバマ前政権の方針から、大きく転換させた。

 NPRの発表は8年ぶりで、トランプ政権では初。新たなNPRでは、米国が核軍縮を進める一方で、中ロが核兵器の近代化や拡大を進め、北朝鮮の核開発が脅威になっていると指摘。「我々は世界があるべき姿を願うのではなく、現実を見つめなければならない」とした。また、多様な核戦力を持つことで抑止に向けた柔軟性のある選択ができると繰り返し記述した。

 具体的には、ロシアなどによる小型の核の先制使用を想定。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)用に爆発力を抑えた小型の核弾頭の開発を進めるとした。敵の重要施設などへの局地的な攻撃を念頭に、速やかな反撃の選択肢を確保することが目的だという。

 さらに、水上艦や潜水艦から発射できる新型の核巡航ミサイルの開発を目指すことを明記した。

 核使用の条件については「極限的な状況で使用を検討する」と、オバマ前政権と同じ表現を用いた。しかし、通常兵器など非核攻撃への反撃を含むことも明示した。

 核軍縮自体には賛同する一方、ロシアなどが軍縮条約を守っていないと批判。「核保有国が国境を変更しようとしたり、既存の規範を覆そうとしたりしている状況下では、更なる(核軍縮の)進展は予想できない」とした。

 ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の働きかけで昨年、世界122カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたことを批判。「国際的な安全保障環境の変化という前提を無視した、全く非現実的な核兵器廃絶の期待に駆られている」とした。さらに「条約は米国や米国の核の抑止力に頼る同盟国やパートナーの安全保障を損ない得るものだ」と指摘した。(ワシントン=杉山正)

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