[PR]

 日本人の2人に1人がなる「がん」。滑川市の大学職員、平田暁子さん(51)はがん患者としての経験を基に、患者や家族の相談にのる「ピアサポーター」として活動している。小学生への授業では「特別な病気ではない」とがんへの理解を呼びかけている。

 2008年の年末、平田さんは左の乳房にしこりを感じて検査を受けた。09年2月上旬、乳がんだと告知された。「ショックだったけど、実感はなかった」と平田さん。がん細胞は左胸全体に広がっていて、2月下旬の手術で左胸を全摘出した。

 定期的な健康診断とは別に婦人科がん検診を受けることもできたが、仕事を抜ける必要があり、一度も受けたことはなかった。医師からは「2、3年前からがん組織があったかもしれない」と言われた。平田さんは「もっと早く分かっていたら体にも金銭的にも負担は少なかったのでは」と後悔した。

 手術後の検査結果が出るまで、本やインターネットで様々な情報を知っては不安になった。抗がん剤治療を受けることになると、副作用がつらく、苦しいイメージがあったため「一番ショックでした」。

 そんな時、通院していた病院の患者会に足を向けた。同世代の女性もいて、フラワーアレンジメントをしながら、抗がん剤治療を始めることや子育てのことなどを気負わずに話すことができた。「居心地がよかった。自分だけじゃない、前に進もうという気持ちになりました」

 13年、県がん総合相談支援センター(富山市安住町)ができると、平田さんはセンターでピアサポーターとしての活動を始めた。

 昨年10月、富山市内の小学校の6年生約90人に、がんになって気づいたこと、傷ついたこと、人の優しさにふれてうれしかったことなどを話した。「がんは日本人の2人に1人がなる病気。自分や家族がなるかもしれない。『かわいそう』とは思ってほしくない」。そんな思いを伝えた。同校の教頭は「生き方を感じ、自分や周囲の命と向き合ってほしい」と話す。

 再発するかもしれないと考えると不安は消えない。年1回の全身検査の時は、「心臓がバクバクする」。

 それでも、家族と食卓を囲んだり、春が来て桜を見るのを心待ちにしたり、そんな日々のささやかな出来事を幸せだと思うようになった。「がんになっても人生は続く。一人で悩まず、正しい情報と信頼できる人を見つけたら、がんと向き合っていける」

 県がん総合相談支援センターではピアサポーター約70人が活動している。ほかに看護師資格などのある専門相談員が常駐して治療や就労などの相談を無料で受ける。月~金は午前9時~午後4時、土曜は午後1~4時。毎月第4土曜日は交流サロンを開く。問い合わせは同センター(076・432・2970)。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/

(吉田真梨)