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 思春期と若年成人のAYA(あや)世代と呼ばれる患者には、上の年代とは異なる課題や悩みがあり、治療前後や退院後の支えの必要性が指摘されています。大きな試練に直面しながらも、自分らしく生きようと模索する姿を写真と文で紹介します。

 

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 治療か出産か。

 東京都品川区の古川愛さん(33)は昨年6月、出産予定日を1カ月後に控えて乳がんの確定診断を伝えられ、迷った。先に手術という選択もある。お産は初めて。がんの増殖も怖い。でも主治医と相談し、出産後に手術を受けようと決断した。

 誕生は予定日より1週間前。「私を助けるために、察して早く出てきてくれたのかな」。哺乳瓶の中身をぐいぐい飲み干す莉己(りこ)ちゃん(6カ月)を笑顔で見つめ、いま、そう振り返る。

 手術に備え、母乳を止める必要があった。だが、免疫成分が多いといわれる初乳をどうしてもあげたかった。医師や看護師に協力してもらい、手術前に1週間だけは授乳させてもらった。その結果、感謝の気持ちで左乳房の切除手術に臨むことができた。

 翌月、別の手術を受け、卵巣組織の凍結保存をした。治療で自然妊娠が難しくなっても第2子を産む道を残すためだった。出産に続く2度の手術は負担が大きかったが、「やるしかない」と乗り越えた。

 抗がん剤治療は昨年末に終わり、放射線治療が始まる。再発のリスク、むくみや吐き気の副作用もあるが、育児で忙しく、後ろ向きになる余裕はない。

 「この子がいるから、未来を見て、がんと向き合える。私たちの『光』です」。春には職場復帰を目指す。

 夫の義己(よしみ)さん(39)が照れくさそうに言った。「ポジティブな妻ですが、本当に頑張っている。一緒に病と向き合い、闘っていきます」

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(池田良)