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教えて!憲法 基本のき:4

 日本国憲法の章だてには意味がある。いずれの章も重要だが、より大切だと考えられたことほど、前に書いてあるといっていい。

 冒頭にある前文は、「国のかたちをきめる権力=主権」を新たに手にした国民の「宣誓文」だ。主権が国民にないなかで戦争の道に突き進んだ反省をもとに、憲法を制定する意義や目的をしるした。ほとんどの文の主語は「日本国民」と「われら」。国民みずからが主人公だとの思いを前面に、全643字に国民主権と平和主義をつづる。

 本文は全11章、103条。ほかの近現代の憲法と同じように、前半に基本的人権の保障が、後半に国の機関のありようや国家権力の使い方が書かれている。基本的人権の保障が政治の目的で、国家権力はそのための手段という考え方にもとづく。

 一方、日本国憲法に特徴的なものもある。一つは、第1章の「天皇」だ。大日本帝国憲法(明治憲法)と同じ順番、同じ表題だが、内容は大きくことなる。主権が天皇から国民に移ったことをはっきりとしめした。天皇を日本や日本国民の統合の「象徴」とし、国民主権をあきらかにした。

 もう一つは、第2章の「戦争の放棄」だ。憲法の三大原理の一つ、平和主義として、国民主権の次におかれた。ふたたび戦争の惨禍が起こることのないようにすると誓った前文にもとづき、軍隊も戦力も持たないとしるした、独特な規定だ。自衛隊が軍隊や戦力に当たらないのか、憲法論争の焦点になってきたのもこの章だ。

 第3章の「権利・義務」にも、国家が個人の思想を不当に弾圧したり個人を拘束したりした戦前、戦時中への反省が映っている。みんなの迷惑にならないなかで、どこに住んでも、どんな職業についても自由。どんな考えを持とうとも自由だ。自分の考えを発表する集会を開いたり出版をしたりする表現の自由もしるされている。不当に逮捕されない身体の自由もある。

 親が子どもに教育を受けさせる義務、勤労する義務、税金を納める義務もここにしるされている。

 第4章は「国会」、第5章は「内閣」、第6章は「司法」だ。国家権力が特定の機関に集中しないように、法律をつくる権限を国会に、行政をつかさどる権限を内閣に、法律を適用して争いを解決する権限を裁判所に分担させ、たがいがたがいをチェックする三権分立のしくみをとり入れた。国会は主権者である国民に直接えらばれた国会議員でつくられている。憲法は国会を「国権の最高機関」と呼び、国民との近さから、三権のなかでいちばん前におかれている。

 その後は財政(第7章)、地方自治(第8章)、憲法改正手続き(第9章)が続く。憲法の最高法規としての位置づけを書いた第10章では、憲法を尊重し、守る義務が政治家や公務員ら、国家権力の側にあることを明記する。(二階堂勇)

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 〈基本的人権の保障〉 国民主権、平和主義とともに、日本国憲法をつらぬく三大原理の一つ。人が生まれながらに持つ権利で、11条は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」とさだめ、「侵すことのできない永久の権利」と位置づけている。

 13条も「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、最大の尊重を必要とする」とさだめる。一方、「公共の福祉に反しない限り」と制限も。他人のお金を盗んで幸せになる、という権利はみとめないというのがそれだ。

 憲法に人権規定があるから「それでおしまい」ともいかない。12条で、国民の不断の努力により保持しなければならないとも強調している。また、スマホなど情報通信機器の普及にともない、プライバシーや「知る権利」といった「新しい人権」も誕生。権利と権利がぶつかり、社会問題化する場合がある。

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 〈憲法改正手続き〉 憲法96条に「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。承認に過半数の賛成を必要とする」と定める。現行憲法が1947年の施行以来、一度も改正されていないのは、96条の高いハードルが一つの理由とされている。通常の法律制定より難しい改正手続きを持つ日本のような憲法を「硬性憲法」という。