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大野博人(編集委員)

 フランスは「徴兵制」に何を期待しているのだろう。

 マクロン大統領は先月、実施に向けて作業グループを立ち上げたと発表した。4月に結論をまとめさせるという。同国では兵役義務は2001年に廃止されており、その復活に見える。

 昨年の大統領選挙ですでに公約として掲げていた方針である。男でも女でも18歳から21歳までの間に一度必ず防衛、治安を担う場所で任務に就かせるという構想だった。パリなどでテロが続き、治安に不安を感じる人は少なくない。こうした発想が出てくる背景はたしかにある。

 ただ当時、不思議に感じたことがいくつかあった。

 ひとつは提案している兵役期間だ。たった1カ月。初心者が入れ代わり立ち代わり頻繁に任務を交代してどれほど治安の強化につながるのか。

 選挙期間中、主要な争点になっていなかったことも意外だった。ほかの候補も似た考えを打ち出していたのだ。右翼のルペン氏だけでない。グローバル化や欧州統合に批判的で若者の支持も高い左派のメランション氏は、1カ月どころか9カ月の防衛や環境保全などの任務を課すと訴えていた。

 廃止のときは、大革命期以来の歴史的な転換といわれた。それをまたひっくり返そうというのに異論が目立たない。

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