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 エッセイストの鳥居りんこさんが、新刊「親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり」(ダイヤモンド社)を出した。母親を介護する中で実際にかかったさまざまな費用について、「介護費用の節約と手続き編」「認知症と親のお金の管理編」など、テーマごとにわかりやすく説明している。

 父親が亡くなった後、鳥居さんはキーパーソンとして約10年間、母親を介護。施設や病院、行政側に対する窓口役を担ってきた。あるとき、老人ホームの入居一時金を払おうと母親の預貯金を確認したことがきっかけで、「被害」に気づく。

 母親は、大手銀行の外回りの女性の勧めで投資信託をしていた。しかし、運用益による分配金だと母親が信じていた毎月30万円の入金は、実は元本を取り崩して支払われる「特別分配」だったことが発覚。預金は元本割れを起こしていた。鳥居さんら家族は銀行に抗議し、救済機関に駆け込むが……。

 高齢者は、投資信託のリスクや仕組みを十分理解せずに加入してしまうことが少なくない。

 「まさか大手銀行が高齢者をだますようなことをするとは、それまで考えたこともなかった。母のような『被害者』を出さないために、この本を書こうと決めたんです」と鳥居さんは振り返る。

 亡父の遺産相続に必要な手続きがされていなかったこともわかり、その処理に奔走。一方で、介護にかかる費用は予想以上に増え、節約するための手続きに奮闘する。

 さらに、母親に認知症の兆候が現れ、預貯金を引き出せない事態に。

 「親が認知症になる前に、『自己申告』と『情報収集』という『二つのJS』で心づもりをしておくことが、結果として、キーパーソンになる人を救うことになります」と鳥居さん。

 介護はいつ終わるかわからず、先の見えない日々が続く。母親の言動に振り回され、何度も心が折れそうになったこともそのまま記した。

 「介護はお金とマンパワーのバランスで成り立っている」と鳥居さんは言う。お金がないと、ヘルパーを頼むことも老人ホームに入ることもできない。親の介護を誰がどれぐらい担えるのか、介護に直面して初めて考える人がほとんどだが、早めに家族で相談しておくことの大切さも痛感した。

 「準備を先送りしているとどうなるかを具体的に、できるだけ面白く読めるようにこの本を書きました。家族の間で早くから話し合うきっかけにしてもらえたら、と思います」

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 鳥居りんこさんが両親の介護に奮闘した10年余を語った連載、及び、昨年3月に亡くなった母親との日々を語った連載は、朝日新聞デジタル「介護とわたしたち」に掲載されています。(坂本真子)