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教えて!憲法 基本のき:2

 日本国憲法は98条でみずからを「最高法規」と位置づけている。憲法がさだめているきまりに反する法律や命令をつくることはできないということだ。

 でも、「最高法規」の意味を、日々の生活のなかで感じるのはむずかしい。憲法とは何か。ほかの法律とはどう違うのか。日本国憲法ができたときのことを振り返ると、わかりやすいかもしれない。

 日本は第2次世界大戦に負けた後、明治時代にできた大日本帝国憲法(明治憲法)の改正を、日本を占領した連合国軍総司令部(GHQ)にせまられた。政府がGHQの草案をもとにつくった改正案は、帝国議会での審議で修正が加えられ、日本国憲法ができた。

GHQの草案をもとに改正

 憲法の制定経緯そのものについては、多くの研究がある。しかし、当時の吉田茂内閣が同時に「臨時法制調査会」をもうけて、たくさんの法律づくりや法改正を大急ぎで進めたことは、それほど知られていない。

 国をおさめる権力を持つ主権者が天皇から国民に代わる。貴族院を廃止して新たに参議院をもうける――。新憲法の規定に合わない法律をあらためなければならなかった。皇室典範や内閣法、民法、刑法、戸籍法。臨時法制調査会が法律づくりや改正のポイントをまとめたのは、主な法律だけで約20にのぼったという。

 法律や命令が憲法に反していないか、審査するのが裁判所だ。その権限を「違憲立法審査権」といい、最終的な権限をあたえられている最高裁判所は「憲法の番人」と呼ばれる。これまでも法律のさだめを無効としたり、改正をせまったりした。

 その一例が、遺産相続のときに、結婚していないカップルの間に生まれた子(婚外子)の取り分を、結婚したカップルの子の半分とする、とさだめた民法の規定だ。人種や信条、性別などで差別されない「法の下の平等」をうたう憲法14条に反しているとして、最高裁が見直しをせまった。

 両親や祖父母などを殺害した場合に通常の殺人より重い刑とする刑法の「尊属殺人」規定も、14条に照らして無効とされた。

反する法律を無効とする最終権限、最高裁に

 憲法とは、平等や自由といった個人尊重の原理をしめしたものともいえる。

 この原理に反する法律を無効とする最終権限を最高裁にあたえることで、最高法規としての安定性をたもっている。しかも、法律は衆参両院の過半数の賛成で変えられるが、憲法改正には衆参両院で3分の2以上の賛成で憲法改正を発議し、国民投票で有効投票の過半数の賛成を得ることが必要だ。「改正しづらい=硬い」という意味で、硬性憲法と呼ばれる。

 条文を変えられないため、歴代内閣は平和主義をさだめた9条の読み方を変え、自衛隊の増強や海外派遣を進めた。解釈改憲だ。安倍内閣は歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使を認める解釈改憲をおこない、強い批判をあびた。(岩尾真宏)