【動画】立ち往生は48時間超に/市民生活の混乱続く=千種辰弥、辻村周次郎撮影
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 北陸地方は8日午前も雪が断続的に降り、福井県内の国道8号で立ち往生した車列も3日目に入った。疲労の色が浮かぶドライバーたち。道路の流れが滞った影響で、各地のガソリンスタンドでは暮らしに直結する燃料の在庫が尽き始めた。

 立ち往生から3日目。福井県坂井市内の国道8号では8日午前10時になっても、高さ1メートルほどの雪に阻まれたトラックや乗用車の車列が残っていた。

 滋賀県東近江市のトラック運転手、中嶋彬人さん(34)は6日午前4時ごろにこの現場で止まって以降、50時間以上を車内で過ごしてきた。石川県小松市に荷物を届ける途中だった。配布されるパンなどで空腹をしのぐ。積んであった毛布で寒さに耐えているが、熟睡はできない。「さすがに疲れた。早くお風呂に入って、ひげをそりたい」と疲労の色は隠せない。

 金沢大4年の男性(22)は6日午前6時ごろから、止まった乗用車の中で過ごす。福井市の実家から金沢市の下宿先に戻る途中だった。排ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒になるのを防ぐため、寒くなったらエンジンをかけ、しばらくしたら切るという繰り返し。「時間がかかるのは想定していたが、まさか2日も閉じ込められるとは……」と語った。

 福井市の自宅から金沢市内に向かっていた女性(59)も、6日午前7時ごろから動けない。前方にいた車は脇道に迂回(うかい)したが、女性の軽乗用車では細い雪道を通れるか心配で、とどまった。「脇道にそれていたら、こんなことにはならなかったかも」と悔やむ。

 ガソリンも減り、エンジンを切ると車内は凍えるように寒かった。耐えきれず、車はひとまずそのままにして、7日未明から数キロ離れた休憩場所の「高椋(たかぼこ)コミュニティセンター」で過ごしている。「とにかく早く雪がやんでほしい」と疲れた表情で話した。(千種辰弥、辻村周次郎)

燃料不足、市民直撃

 大雪は市民の足を直撃している。燃料不足だ。

 「2日前から燃料油が入ってこない。こんなことは初めて」。福井市のガソリンスタンド「丸福産業セルフかいほつ店」の原田慶一所長(39)は8日午前、不安そうに話した。

 福井県内では幹線の国道や県道で除雪が進まず、ガソリンや軽油、灯油を積んだタンク車がスタンドに来ないという。レギュラーガソリンの残量は減る一方で、「このままではもって40~50台分」。住民から「ガソリンはあるか」という問い合わせも増えているが、セルフの給油機では10リットルか20リットルしか選べないように制限しているという。

 勝山市のガソリンスタンド「タキナミSS」でも入荷がなく、7日夜にレギュラーとハイオクのすべてのガソリンがなくなった。灯油も1人1缶(18リットル)のみ販売しているが、8日中に底をつく見通しだ。店長の男性は「いつタンク車が来るか見通しが立たず、困っている」と話す。

 燃料油を貯蔵する坂井市の油槽所には在庫が十分あるが、主要道路の除雪が進まないため、タンク車がたどり着けないという。

 影響は除雪作業にも及ぶ。勝山市の雪害対策本部によると、7日午前から、除雪車が使う軽油が市内で枯渇し、市は大半の除雪作業を中断。県を通じて軽油3900リットルが届いたこともあり、8日未明から再開した。担当者は「暖房用の灯油も心配」と話した。

 鉄道・バスの運休も続く。福井市の男性会社員(45)は8日、自宅から約4キロ離れた会社まで徒歩で通勤した。午前6時半に家を出たが「しんどいですね。自宅前は除雪されていないので、歩くのもやっと」と苦笑いを浮かべた。

 福井銀行本店では、「家に帰ったら出てこられるかわからない」と周辺のホテルに2連泊、3連泊した行員らが、雪に覆われた営業車を掘り出していた。(南有紀、荻原千明)