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 政府は9日、生活が苦しい人たちへの支援策の改革法案を閣議決定した。生活保護世帯の子どもの大学進学時に一時金を支給したり、劣悪な「無料低額宿泊所」を排除する規制を設けたりして自立を後押しすることが柱だ。一方、生活保護受給者の薬は後発医薬品(ジェネリック)を原則にする。今の国会に提出し、今年度内の成立を目指す。

 この法案は、生活保護法や生活困窮者自立支援法など4本の改正法をまとめた一括法案だ。

 子どもの貧困対策では、生活保護世帯の子どもが大学や専門学校に進む場合、新生活準備のためとして10万~30万円を支給する制度創設を盛り込んだ。新年度から導入する方針だ。

 ひとり親家庭に支給する児童扶養手当は、4カ月ごとにまとめて年3回支給する仕組みを、2カ月ごとにまとめて年6回支給するように変える。家計管理をしやすくする狙いだ。

 無料低額宿泊所は、劣悪な施設に生活保護の受給者を集めて多額の経費を取る「貧困ビジネス」の温床との指摘もある。都道府県への事前届け出制とし、防火体制や部屋面積などの最低基準を設けるなど規制を強化する。基準は都道府県ごとに条例で定める。一方で質の高い自立支援に取り組む施設を認定し、運営費を補助できるようにもする。

 生活保護費の医療費にあたる「医療扶助」(国と地方を合わせた新年度当初予算案ベースで約1兆9千億円)の抑制策も入った。割安な後発医薬品について今は可能な限り使用を促すとし、本人が望めば先発薬を医師が処方している。これを後発薬の使用を原則にし、医師が医学的に問題ないと判断すれば、本人の希望に関わらず処方するようにする。

 政府は、生活保護受給者の後発薬の使用率を今の72%から18年度中に80%に高めたい考えだ。厚生労働省によると、1ポイント上がると10億~15億円の費用削減効果があるという。ただ、「受給者が薬を選べなくなる」との批判もある。(佐藤啓介)

生活が苦しい人への支援策改革法案の主な項目【施行時期】

生活保護法改正案

・生活保護世帯の子どもの大学や専門学校への進学時に、一時金を支給する制度を創設。自宅から通うなら10万円、自宅以外から通う場合は30万円【2018年4月】

・生活保護受給者の後発薬の利用を原則化。医者が医学的に使って問題ないと判断することが条件【18年10月】

・生活保護受給者の健診データなどを福祉事務所が管理し、生活習慣を指導する仕組みを創設【21年1月】

社会福祉法改正案

・無料低額宿泊所を事前届け出制とし、防火体制などの最低基準を整備。劣悪な宿泊所へは改善命令を出せるようにする【20年4月】

生活困窮者自立支援法改正案

・住まいを失った人に宿泊場所を提供する「一時生活支援事業」に見守りや日常生活支援の取り組みを追加。自治体の事業費や民間への委託費に補助金を出す【19年4月】

・家計改善支援を効果的に行う自治体への国庫補助率を2分の1から3分の2へ引き上げる【18年10月】

・子どもの学習支援事業として行う生活習慣改善などの取り組みについて、自治体への補助対象と明確化【19年4月】

児童扶養手当法改正案

・児童扶養手当の支払い回数を年3回から奇数月の年6回に変更【19年9月】